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『(すっかり遅くなっちゃった…!先生話し始めると長いんだよなぁ)』
放課後、
長い廊下を早歩きで進んでいく。
プリント提出後、「最近は居眠りが多い」だとか「このプリントも本当は授業内で提出しなきゃいけないんだぞ」だとか、オマケ程度に叱られて
提出するだけだったはずが、あろう事か30分ほど時間を取られてしまった。
チラッと窓の外を見ると、沢山の運動部員が部活動に励む姿があった。
「ファイトー」と声を出す後輩部員達の声が夕日の日差しと共に私に流れ込むのだ。
もうそろそろ日は暮れるというのに、そよそよと頬に感じる春風は、暖かくて心地が良かった。
『(ふふ、もしかしたら莉犬くん、教室で寝ちゃってたりして)』
なんて呑気に思いながら、ついつい緩んだ頬を元に戻して歩くペースを少しだけあげた。
__
やっと着いた一番奥の教室。
早く莉犬くんに会いたくて、私は扉に手をかけた。
___けれど、中から聞こえてきた声のせいでその扉を開けることが出来なかった。
「__ちょ、A__来ちゃ___う、から___」
「いいじゃ__ん、莉犬___私の事__好きなんで_しょ__」
…莉犬…くん?
「あんまり大きい声___出すな__よ__」
「きゃはは、早くしないと__まじでAちゃん__来ちゃうよ____」
教室から漏れ出す声は、明らかによく聞きなれた彼の声で
聞こえてきた内容は、つまり“そういうこと”だと疑うしかなかった。
__この扉を開けるのが怖い。
でも、確かめなければいけない。
『(聞き間違い…かもしれないし、ね。)』
今にも破裂しそうな程にうるさく鳴っている心臓と、焦りで乱れる呼吸。
『(まだ、泣くには早い。落ち着いて、扉を…)』
ガタガタと音を立てて開く立て付けの悪いドア。
そんな音と共に私の視界に入ってきたのは、紛れもない、大好きな莉犬くんとクラスメイトの女の子が
『っいま、キス…して…』
「ッ…!!A…!!これは、その違くて___」
「あ〜やだ〜!Aちゃん、見ちゃった?
__私と莉犬が、キスしてたところ」
教室の真ん中で窓から差し込む綺麗な夕日に伸びた隣同士のふたつの影がよりいっそう私を締め付けてくるのだ。
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しのぶ - 初コメです!凄く面白そうで、このあとの展開が楽しみです!頑張ってください! (2023年1月8日 22時) (レス) @page16 id: 0ed4fa3946 (このIDを非表示/違反報告)
ジャイ子の友達 - 初こめです面白いですね!更新がんばってください!! (2022年6月18日 11時) (レス) @page16 id: aa2b55b842 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - この話好きです (2022年5月27日 22時) (レス) @page16 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
莉ru(プロフ) - 銀魂見ます!絶対面白い! (2021年6月21日 21時) (レス) id: edb58a9a7f (このIDを非表示/違反報告)
みるり(プロフ) - キュンキュンしますねぇ。いつか共同制作してみたいです! (2021年4月28日 6時) (レス) id: 5745da0037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ne6 | 作成日時:2020年3月19日 1時