. ページ11
朝、憂鬱な朝。
セットされたアラームが部屋に鳴り響く前に目が覚めた。
十秒ほど天井の一点をボーッと見つめて私は身体を起こした。
「不細工な顔…。最悪、」
鏡にうつる自分の顔。その光景が、昨日の出来事は夢ではなく事実なんだと私に訴えかけたように感じてそっとため息をついた。
目の腫れはあまりにも酷く、学校は愚か、外に行く気にもなれないのだ。
朝食のトーストを焼いてバターを塗る。
マグカップに注いだホットココアは熱すぎてまだ飲めそうになかった。
___
重い足取りで玄関に向かう。
くしゃくしゃになった制服のプリーツスカートを見て、またひとつ、ため息をついた。
『いってきます。』
熱なんてない。風邪なんてひいていない。
なのにどうしてこんなにも痛むのだろう。
身も、心も、痛いよ。
靴を履いて扉を開いた。
その先に___
「おはよう、A!迎えに来ちゃいました!」
『るぅとくん!?なんで…』
「あれ?さっきメッセージ送ったんだけどな…見てない?」
扉の先に現れたるぅとくんに驚きながら、私は慌ててポケットからスマートフォンを取り出し電源を入れる。
“迎えに行くから一緒に学校行こう!”
笑顔のスタンプと共に表示された文を読んで顔を上げた。
「迎えにこないと学校休んじゃうかと思ったからさ、でもちゃんと行こうとしてたみたいで良かった!」
『わわ、ちょっと!』
「さ、行こう」
半ば強引に手を引かれて私たちは学校へと向かう。
__教室。
「お昼休みになったら迎えに行くよ!今日は中庭ランチでどうですか?」
『うん、わかったよ。たまには木陰でゆっくり食べるのも良いかもね』
扉の前でお昼の予定を立てると「じゃあまた」とるぅとくんは隣のクラスへと移動する。
『(るぅとくん、やっぱり優しいな…)』
離れていく彼の背中が暖かく見えて、その間は昨日の事を忘れられたのだ。
…でもそれもほんの一瞬だけ、僅かな時間だけ。
すぐに心臓が緊張で早くなってしまう。
『(お昼休みまで莉犬くんとも例の女の子とも同じ教室だなんて、、)』
自分の席に向かうのさえ嫌だった。というより、怖いのだ。
莉犬くんが視界に映るのが。
あんなにも一緒にいたくてしょうがなかった人なのに。
意を決して私は自分の席に向かう。
「莉犬〜!おはよ!昨日はよく眠れた〜?」
「…うん。おはよう、佐藤さん。」
その途中通ってしまった莉犬くんの横。
私はそっと自席についた。
始業のベル。
重い今日が始まった。
446人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しのぶ - 初コメです!凄く面白そうで、このあとの展開が楽しみです!頑張ってください! (2023年1月8日 22時) (レス) @page16 id: 0ed4fa3946 (このIDを非表示/違反報告)
ジャイ子の友達 - 初こめです面白いですね!更新がんばってください!! (2022年6月18日 11時) (レス) @page16 id: aa2b55b842 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - この話好きです (2022年5月27日 22時) (レス) @page16 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
莉ru(プロフ) - 銀魂見ます!絶対面白い! (2021年6月21日 21時) (レス) id: edb58a9a7f (このIDを非表示/違反報告)
みるり(プロフ) - キュンキュンしますねぇ。いつか共同制作してみたいです! (2021年4月28日 6時) (レス) id: 5745da0037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ne6 | 作成日時:2020年3月19日 1時