混沌の中 ページ22
「ちょっと!!アンタ説明しなさいよモアイ!!」
「いやだからモアイじゃないってば」
「やかましい!!」
…人は訳の分からないことを立て続けに連続に頭の中に押し込もうとするとどうやら思考が爆発するものらしい。もうそろそろ素晴らしい出来の私の思考も限界だった。今にも煙を出してしまいそうだ。考えることを放棄し、私はモアイの襟首を掴み上げては首が取れんばかりに揺さぶってみせた。落ち着いてくださいとソイツは抗議してくるけれど、そんなこと言っていられるほどの余裕はない。
…ん?余裕を失ったら負けだと言った奴は誰か?知るかそんなもん。
「あのねェそういうことはねェ!!まず事務所を通して貰わないと困るのよ分かる!?」
「いや事務所っていうか貴女の組織にアポを取ったら捕まってしまいますから…」
「マジレスしてんじゃないわよ!!いいからどういうことかって聞いてんのよ!!」
ブンブンと振っていれば、そろそろ離して頂けなかないと話すに話せないとソイツは泡を出しそうな顔をしながらに言うので、仕方なく私はソイツの襟首から手を離した。崩れてしまった着物を直しながら、やれやれ、と言った様子の武市は一つ溜め息をついた。溜め息をつきたいのは私の方だわ。
「…それで?私が鬼兵隊に入る云々ってのはどういう意味なのよ」
この件に関してはしっかりと答えなければ許さない。そんな雰囲気をかもし出すように私は睨みを効かせ、ソイツを見据える。が、どうやらこればかりは秘密にする事柄でもないようで、淡々と武市は口を開いた。
「貴女は10年前、鬼兵隊の一員として晋助殿達と共に戦っていた」
「えぇ」
私は一つ頷いた。そう。10年前、私は鬼兵隊に所属する剣士だった。それは紛れもない事実である。
「だから今回、貴女には我々の元に戻って貰う。そんな単純な話ですよ」
「……いや、ごめん、それ何の説明にもなってないよね」
…確かに私は、元鬼兵隊の一員である。晋助の傍で戦い、彼を護り、彼に護られていた。けれど今、晋助どころか、銀時も小太郎も皆が、違う道を歩いていて、そして私は、真選組という組織に今は属している。鬼兵隊と敵対する組織に。言ってみれば、対局する位置にいるのであって。それなのにどうして私が、鬼兵隊に戻るなんていうことになっているのだろうか。理解不能だった。
「…、…?」
「武市先輩、Aさんが混沌の中に居るっスよどうすんスか」
「そんなこと言われても困りますよ」
…頭を抱えている私を他所に、そんな呑気で平和的な声が聞こえてきた。
446人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狗 - 長編小説って飽きやすいイメージがありますが、ピピコさんの小説は、全く飽きることがなく、むしろ読むたびに続きが読みたい!と思えます!最後までしっかりと読むつもりです! (2019年5月26日 10時) (レス) id: 0b828016c7 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - にんじんさん» にんじんさん!レス遅れてしまいごめんなさい!ありがとうございます!また子ちゃんは多分私の書く小説で出てくるのは初めてだと思われるので上手く書けているか不安でしたがそう言って頂けて安心です…!また子ちゃんだけではなく総督様にもご注目くだされば幸いです! (2018年2月14日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - また子ちゃんカワイイ! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 鏡華さん!ありがとうございます!終わってほしくないと言って頂けて感激してます!書き手としてすごく嬉しいです!ずっと暖めていたお話なので展開をうまく開いていけるか不安ではありますが頑張らせて頂きます!高杉さんにそして土方さんの活躍をお楽しみに! (2018年2月9日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
鏡華 - 終わってほしくないです!!高杉さんも関わってきて、続きが気になります!! (2018年2月9日 9時) (レス) id: a16b684fd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年1月27日 18時