夕闇に誘いし絶世の美女を振り向かせる

episode 116 ページ31

「えっ、と、ごめん、」

後ろに倒れそうになった私は
反射的に中村の腕を掴んだ
そのせいで中村を道ずれにしてしまったのだが
言っちゃえばよくある展開
押し倒されたような体制になる

「ちょ、退いてばか」

中「…、」

一向にどいてくれない中村と
遊びすぎて気づいてくれないこや達

濡れたせいで張り付いたTしゃつと
覆いかぶさっている中村の圧迫感で
心臓がうるさいほどなっている

「……ねぇ、退いてってばっ」

中「…反則だからそれ」

そういった中村の顔が少し近づいたのがわかって
グッと目を瞑る

そこで、デコピンだのなんだのしてくれれば
いつもみたいだなってなるのに
唇に触れた柔らかい感触と
その感触が離れた時の中村の吐息が
それをしてしまったとわからせてくる

中村と、キスした…、


目を開けた時には中村は起き上がってて
上半身を起こした私の手を引いて
立ち上がらせてくれた

中「早く着替えてこい」

「ふべっ、」

顔にTシャツを投げられて
それを見てぼーっとしてると

中「早くしろって、お前下着透けてんだよ」

中村に言われてTシャツを見ると
水が染み込みすぎて肌に張り付いている
そのせいで私の今日の白の下着が丸見え

「き、着替えてくる」

急いで車に向かって中で着替えをした
また濡れてもいいようになのか、黒のTシャツ
…これ中村のじゃん

少しサイズの大きい中村のTシャツを着て
もう一度公園に戻ると

5人で取っ組み合いをしていた
…もう水風船関係ないじゃんね

びっしょびしょのあいつらに
タオルを持っていくと忘れかけていた水風船を
私の方に1個投げてきた

千「Aさんももうちょっと遊んでこ!」

「…、うん」

千葉ちゃんに手を引かれてみんなの方に走る
さっきもらった水風船を小柳に投げて
また乱闘開始。


キスは、忘れよ。

episode 117→←episode 115

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す