夕闇に誘いし絶世の美女を振り向かせる

episode 97 ページ12

千「っわー、雪?」

突然降り出した雪
新幹線が動かなくなったら明日これないねって
千葉ちゃんが困ったように笑うから
今日、私は千葉ちゃんを泊めることになった

「千葉ちゃん着替えとかどうする?」

千「んー、どっか寄ってくれたら買う」

「わかった、じゃあお店寄ろっか」

某デパートに車を留めて
雪も降っていて暗くなり始める中
お店の入口まで少し走る

「いやぁ〜、寒いねっ…」

お店に入りながら寒い手を擦って
千葉ちゃん用のジャージとか下着を買う

千「ありがとねAさん」

「んーん、大丈夫」

お店の中をぶらぶらしながら
買わないけど見るだけを繰り返す

千「これ可愛いね」

「あー、本当だ可愛い」

千葉ちゃんが、綺麗なピアスを手に取った

「千葉ちゃんピアス付けるの?」

千「違うよ、Aさんにプレゼント」

「えっ!! いいのに、大丈夫だよ?!」

たんたんとお会計を済ませる千葉ちゃん
小さい袋に入れてもらったそれを
私に差し出した

「んー、もらえないよぉ〜」

千「こやさんとともやんのは貰ったのに?」

「うぅん…、それじゃあもらうけど、なんか申し訳ないよぉ……」

バンドメンバーとはいえ
後輩で年下である千葉ちゃん
男である以前に彼は後輩

なんか、後輩に奢ってもらうのって
ちょっとだけ申し訳なくない??

千「俺だってかっこいいとこ見せたいの」

「もー、いつも言うけど千葉ちゃんはいっつもかっこいいし可愛いんだってば〜」

車に乗り込むと
千葉ちゃんがシートベルトをしめて
私の方を勢いよくみた

「…ん? どうしたの?」

千「付けてくれないの?」

「ピアス? 付けてほしいの…?」

そう聞くと、勢いよく頷いた千葉ちゃん
別に遠慮する必要も無いし
鏡を出して、ライトを付けて
耳にピアスをつけた

千「ふふ、可愛い」

「ありがとう、嬉しい」

千「写真写真」

千葉ちゃんが素早く自撮りをして
Twitterにあげる

その間に車を発進させて自宅に向かう

雪も強くなってきて
事故りたくないしってことで
ちょっと急いで帰る

千「Aさん可愛い〜って」

「えー、そんなことないよ〜」

千「Aさんは可愛いよー」

「そんなことないけどなぁ〜」

そんな会話をしながら車を走らせること約15分
家に着いた時には、大雪
明日絶対寒いなぁ…

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