・ ページ36
＿＿br視点
「今日知らない子に告白されたんだけど、ちゃんと断ったよ〜？きんさん、ご褒美は？」
「ん、偉い偉い」
僕の頭を撫で、そのまま下に降りていき、指が耳の裏をするりと撫でた。
学校の帰り道は、いつもこうやってご褒美を貰える。今日は告白を断れたから、いつもより多めに貰えるかな、なんて期待が膨らむ。
しかし、目鼻立ちの良い顔が近づいて唇に少し触れるだけだった。
「もうちょっと欲しい」
不満気な顔を見せれば、楽しげに笑われてからもう一度される。
「ぅ……ん、」
きんときの舌が褒めるように撫でてくれる。そうやってやられると、心がどっか行ってしまったかのように何も考えられなくなる。その瞬間が大好きで、いつもきんときに褒められるよう、頑張ろうと思う。頑張りたくなって仕方がなくなる。
「……ん」
数秒して、口を離される。口の端から垂れた涎を指の腹で優しく拭ってくれた。
いつから、こんなことをし始めたのか。確か、小学校に上がりたての頃から、こんなことをしていた気がする。
きんときが『おれたちなかよしだから！』なんて言って、唇を合わせてきて、それが楽しくて、ふわふわして、いつの間にか“ご褒美”として貰うようになっていた。きんときも嬉しそうに笑っていて、その笑顔を見るのも好きだった。
結局この行為に何の意味が籠っているのか知らない。これが僕たちの普通だった。
「ぶるーくは可愛いね」
「はっ？僕が？」
きんときにこんなこと、初めて言われた。何か恥ずかしいけど、嬉しい、かも。
「小さい頃からずーっとかわいい」
「今日どうしたの？きん、……」
後頭部に手を回され、抱きしめられる。顔がきんときの肩口に埋まって、上手く顔が見れない。きんときは僕よりも少し小さくて、屈む体制になってしまう。
「ぁや……っ！？き、とき？」
項の辺りを舐められて、強く、吸われる。初めての感覚に背中や腰に変な違和感を感じた。それを知っているかのようにきんときにそこを撫でられる。
「急にごめんね、嫌だった？」
手を離され、目を覗き込まれる。上手く考えることができなくて、でも、嫌じゃなかったことはわかる。
ふるふると横に首を振れば、吸われた部分を優しく撫でられた。
この幼馴染みの関係が可笑しくて、普通じゃないことくらい、薄々気付いていた。でも、きんときがそんな僕で嬉しいなら、これ以上何も知らなくてもいいかな、なんて。
さっきのことも、ご褒美も、何も意味は知らないままで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 429人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白雲(プロフ) - 美樹さん» コメントありがとうございます！自分も整地組大好きなので、楽しんで書かせていただきます！結構遅くなってしまうと思いますが、気楽に待っていて貰えると嬉しいです！ (2022年1月23日 9時) (
レス) id: c49d134380 (このIDを非表示/違反報告)
美樹(プロフ) - 失礼しました。聖地組ではなく整地組でした…。それと、作者様の言い回しや表現が大好きです！これからも応援しています(*^^*) (2022年1月22日 22時) (レス) id: b8303016d4 (このIDを非表示/違反報告)
美樹(プロフ) - 初コメ失礼します。krsmまたはsmkrで両片思いから結ばれるまでのお話と、素直になれずに拗れる→和解するお話をリクエストしてもよろしいですか？なかなか聖地組の作品が見当たらないので、2つ挙げましたが、作者様の負担にならない程度でお願いしたいです！ (2022年1月22日 22時) (レス) id: b8303016d4 (このIDを非表示/違反報告)
白雲(プロフ) - むゆのもちさん» そう言っていただけて嬉しいです！皆様の好みは私の好みでもありますので(？)これからものんびりと読んでやってくれると嬉しいです！ (2022年1月21日 23時) (レス) id: c49d134380 (このIDを非表示/違反報告)
むゆのもち(プロフ) - お話読ませて頂きました。ク.スリ使うのとか本当好きで好みがバレてるのかと思っちゃいました...これからも白雲様のペ一スでお話を書いて下されば嬉しいです...！！ (2022年1月21日 21時) (レス) id: 0eed68bcfb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雲 | 作成日時：2021年8月29日 11時
