【鬼滅の刃】起きたら知らんところにいた (ページ14)

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少し遅れてカタンと桶が落ちた音が廊下に響いた。

女性の顔が何を言われたのか分からないと言ったもの徐々に青ざめていく。それに比例して目じりには涙が溜まっていった。

「…も、もしかして記憶が……？」

コクリと頷くと今度こそ女性は顔を覆って静かに泣き出してしまった。

『(アッアッアッ、選択肢間違えたァーーー！！
やだーー！ごめんなさい！ごめんなさいね！？)』

何がダメだった！？この人の事知らないって感じ出したのがダメだった！？やっぱり知り合いだったっぽいよね！？名前読んでたもんね！私の！！

ゴトウさんとムラタさんに教えて貰った私の名前らしいものをこの人は呼んでいた。知り合いだったと考える方が自然だろう。

取りあえず落ちた桶と拾って廊下に広がったお湯を手拭いをで拭く。拭いている間、無駄だと思いながらも思い出せないか記憶を遡る。

『(……無理だなぁ)』

どれだけ思い出そうとしてもこのポンコツ頭はうんともすんとも言わない。あまりにもクソ

「グスッ…あっ、ご、ごめんなさいね。お客さんにこんな事させちゃって」

『あっいや、…こちらこそ、その…』

女性は何も言わず、ヘラりと全然作れてない作り笑いをしたあと逃げる様に廊下の奥へと戻って行った。

どうしたらいいのかわからなくてさっきまで寝ていた布団に潜り込む。やだあったかい

人間ってどうしたらいいかわかんなくなると本当に訳わかんない行動に出るんだな。もう寝そうなんだけど。

『(…ああもうダメだ)』

全く寝るつもりがなかったのに散々寝た筈のこの身体はおかしことに睡眠を訴えてきた。馬鹿になってんじゃないのこの身体。

ちょっと前まで３年間寝てたんだぞ？人間の身体は寝溜め出来ないとは聞くけれどここまで睡眠に極振りすることある？？？

手の甲を抓ってみたり、舌を噛んでみるものの何も効果がなく眠気でもう身体中が鉛のようになっていく。微々たる抵抗も虚しくゆっくりと瞼は下がっていった。

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