第四十七話. ページ48
先の見えない暗闇を彷徨っていた。其の時ふと、細い生糸の様な光が見えた
本当に細くて、瞬きをすれば見失ってしまいそうな程に儚いものだった
指先でそっと触れれば辺は光に包まれ、同時に私の耳に微かな声が届く
“それぞれの今思う幸福”
もう、私の魂は消え去って仕舞った筈なのに…心の中の欲が溢れだしてきて
ポートマフィアの人達と、治くんとまた逢いたい。そう願う自分が居た
『…悲しいほど美しい声、』
私の異能の本来の姿_____
治くんに逢いたい、逢って、ちゃんと…_____
意識がふと、現実へ引っ張られる感覚に襲われひと時目を覚ました
『森……さ、』
「やっと目覚めたね、Aちゃん」
そう云って森さんは私も抱きしめる。其の温もりが心地好くて、少し苦しい
『私、まだ遣るべき事が在るの』
「知っているよ……でもそれが済んでしまったら君は、」
其の声を背中に私は大切な二人の元へ駆け寄った
私を見た瞬間、二人の瞳は零れ落ちそうな程に見開かれた
「A……、Aなのか…?」
安堵の気持ちが込められた綺麗な蒼色の瞳ね私を見つめる彼は恐ろしい程に仲間思い
私はそっと頷く。そして静かに振り向き愛する貴方に目を合わせた
そんな彼の手が私に恐る恐る伸びる。ひらり、と其の手を避け私は話し掛ける
貴方の全てが大好きで愛おしいから_____
『太宰さん…否、治くん。私やっぱり貴方を愛してるんです』
「謝っても謝りきれない……本当にごめんね、Aちゃん」
『治くんの愛する街を護る為なら命も惜しく無かった。でも結局は貴方の為だった』
「Aちゃん、私は…っ、」
『何よりも、誰よりも。貴方が居る世界が眩しい』
「っ、真逆!」
私はそっと彼に近づき、力一杯抱き締めた
嗚呼私、矢張り此の人の手が、温もりが、香りが、声が……全てが、大好きだ
異能生命体としてでもひと時、もう一度貴方に会えて幸せでした_____
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凜(プロフ) - 伊月さん» コメントありがとうございます!物語の構成は創る以前に練った部分もあるのでお気付きになって貰えて嬉しいばかりです……!深夜帯の方が泣ける可能性何故か高いですよね、笑今度も精進して参ります!本当にありがとうございます! (2021年10月21日 21時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月 - 物凄くよかったです!文体がめちゃくちゃ私好みな上、物語の構成がもう涙しか誘わない...泣けなかったけどもw 深夜に読んでこっそり泣こうかな。表現とかもすごく綺麗で、とても参考になりました。漢字沢山使ってて文ストっぽくて好きです!活動応援してますね! (2021年10月18日 12時) (レス) @page50 id: db73aa45c7 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます!神作だなんて私には勿体ない程ありがたいお言葉を頂いてしまって……、、文才ももう褒めてもらえて幸せでいっぱいです!私もそのように優しい主様に出会えて良かったです!ありがとうございます…! (2021年10月6日 0時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - いや、真面目に泣きました。神作過ぎます、、、、、こんなの見れて今日は私の命日なのかな?感動しましたし、作者さまの文才が凄いですね!こんな神作、もう出会えないかも知れない。出会えて良かった、、、、、 (2021年10月4日 23時) (レス) @page49 id: 2eb070a2f9 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!そのような嬉しいお言葉をいただけて私も幸せですし泣きそうです…、感動できる作品創りを心掛けて居るので良かったです…!本当にありがとうございます! (2021年9月23日 20時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凜 | 作成日時:2021年5月28日 21時