うちの妖、平和な日常。○○してみた、されてみた (ページ46)

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あの音色はもう聴けない　Ⅲ ページ46

Aside

……ん？私…何を……

あ…そうだ…。思い出した。確か、ルイが倒れて…さとり兄弟のとこに行って…

そのまま寝落ちしちゃったんだった…

『うーん…マコト…サトル…ごめん、思いっきり寝てた…』

重たい瞼をあけながら、私はそう呟いた。

すると、私のところにサトルが駆け寄ってきた。

サトル
「あ、お、おはよう…A、ちゃん…その…」

『……？』

…何かおかしい…もしかして…

『どうしたの？…まさかルイが…！？』

私がそう言うと、サトルは…少し怯えたような、悲しんでいるような、悔しがってるような…

そんな、色んな気持ちが見て取れる目で、私を見つめた。

そのとたんに背筋を伝う、冷たい汗と悪寒。

ドッドッドッドッドッ…と、鼓動がどんどん早まっていく。

『うそ…でしょ…？マコト…大丈夫だって言ったのに…！』

私がまたパニックになりかけた、その時。

サトル
「違うんだ……Aちゃん…落ち着いて聞いて…」

『え？』

私の手首をつかみ、サトルが静かに言う。

あれだけバクバク言っていた心臓の鼓動が、少しずつゆっくりになっていく。

サトル
「…ルイは生きてる。そのことに変わりはないんだ。…あの…えっと……」

サトルがそこまで言いかけた時。

マコト
「サトル。」

奥の方から、マコトがゆっくりと近づいてきた。

マコト
「…あのことは…ちゃんと伝えるように言ったはずです。Aさんが、この事を一番
　知っておくべきだと。…つらいのはわかります。きちんと言いなさい…。」

『あのこと』って…一体どういうこと？何かあったのは間違いではないの？

私の頭の中で、いろんな考えがぐるぐる回る。すると…

サトル
「…わかった。Aちゃん…こっちに来て。」

覚悟を決めたように兄の言葉に頷き、サトルは私を奥の方へ連れて行く。

そこにいたのは…

見慣れないものを耳につけ、膝を抱え込んで座っている、

私の、一番会いたかったひと。

ルイだった。