Happy Everyday 2nd.

浮かれ過ぎやろby藤浪 ページ2

アップが始まったら、浮いていた空気が一気に引き締まる。
やけど、剛さんのテンションがめっちゃ高くて、独りだけ浮いてる。
それを目ざといトリさんが感じたらしく、野手練の間に2人で話してた。



◆◇◆



俺らピッチャーは、グラウンドの端でストレッチしてんねんけど…。
篤史さんの鋭い眼は、その2人に向いてる。
これがトリさんの言う、嫉妬の塊か。

能「あとで問い詰めたろ」
藤「問い詰めるって、そん…」
能「剛があんなに気持ち悪いねんで？裏があるに、決まっとるやん」

まぁ、剛さんがめちゃくちゃ気持ち悪いのは否定しませんけど…。
ホンマ、そんなんよー分かるわ。

能「晋太郎、まだまだやな」
藤「何がですか？」
能「そーゆーとこ。もっと経験つみや」


――ぱちん――


で、何故か、デコピンされる。
野球に関してなのか、人生に関してなのか、どっちの意味なんやって一瞬思ったけど…。
篤史さんの言う経験は、100%後者やろな。
ただ、女1人に熱入れてる人には、言われたくはないわな、正直。



◆◇◆



軽めにキャッチボールをしてると、グラウンドの隅にあの女が見えた。
急に自撮りしだして何やねんって思っとったら、良太さんが現れる。
何かおもろそうやし、近付いてちょっと見たろ。

2人で自撮り体勢に入ったら、ナリさんが割り込んで、続々と先輩らが入ってく。
てか、篤史さん、いつの間にあそこに行ったん？
もう完全に集合写真やん。
あんなに浮かれてる先輩ら、めっちゃ気持ち悪いわー…。

監『お前ら何やっとんじゃ！』

それを見てた監督が怒鳴って、剛さんの腕をひねって。今さらダッシュ2本…。

「マジ、鬼やん」

ってビビってたら、先輩らが消えた途端に、今度は自分があの女と話しだす。
途端に笑顔になるし…結局、監督も興味あんのかい。

『うにゃぁああ！』

わー、何あの声…。
めっちゃひくー。
見るだけ、アホらしくなってくるわ。

ゴ「ドウシタ？」

バッティングを終えたパピーがやってきた。
あの女を指すと、パピーが笑顔になる。

ゴ「OH！A、ネ」
「どんな人？」

通訳を交わして聞いてみたんやけど…。

ゴ「チイサイ、ヤサシイ、カワイイ」

パピーも同じ答え…どーなってんねん。
しかも、パピーも、監督が消えた途端にあの女のトコに行く。

ゴ「A！」


――どんっ！――


「ぐあっ…」

ヒップアタックで、あの女を吹っ飛ばした。



◆◇◆



揃いも揃って、あの女に熱中や。
ホンマに大丈夫か、タイガース…。

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