第38話 ページ38
『………この痣は間違いなく黒炎病です。まさかあなたまでもが………。』
静かな室内に、どこか驚きと絶望を含んだ男の声が響く。その声の元をたどると、そこには茶髪と黒髪の男が二人。椅子にどかりと腰かけた黒髪の男、その右腕に黒い炎のような痣が浮かび上がっている。白衣を纏った茶髪の男はそんな男にさらに言葉を告げる。
『痣はいつから………？』
『………昨日、いきなり出た。』
茶髪の男の問いを、黒髪の男は面倒くさそうに答える。その目はまるで、なにもかも諦めてしまったかのように暗い色を称えていた。
『………ボンゴレ本部の方へは、私がー、』
『俺が自分でする、そう重々しく考えるな。うざってぇ。』
黒髪の男が殺気を含んだ目で睨むと、茶髪の男は息を詰めて後ずさる。それを鼻で笑った黒髪の男は、そのまま椅子から立ち上がった。
『遅かれ早かれ、こうなるとは思っていた。俺だけ無様に生き残ろうなんざ、はなから考えてねぇ。』
『しかし！あなた様まで死なれては、ヴァリアー本当に壊滅してしまいます！』
『ボンゴレの首領がとっくに逝っちまった今、ヴァリアーもあってないようなものだ』
『そんな………今こそあなたがボンゴレをー、』
『一体誰がこれから死ぬと分かっている奴をボスにするんだ？』
茶髪の男の言葉を全て否定して、黒髪の男は部屋を出ていこうとする。しかし黒髪の男は、ふとそこで足を止めた。
『………おい、あのカスは………今はどうだ？』
さきほどまでの態度とはうって変わった静かな口調。それだけで察したらしい茶髪の男は、顔を曇らせ言った。
『歩くことはおろか、立つことさえもう出来ない状態です。会話はある程度できますが食事はまったく。身体の機能が、急激に低下してきています。』
『………』
茶髪の男の言葉を、黒髪の男は黙って受け止める。重々しい沈黙が辺りを満たすなか、茶髪の男は意を決したように言った。
『彼の命は………もって5日、早ければ………3日以内でしょう』
『…………………そうか』
黒髪の男は短く返事をかえすと、足早に部屋を出ていってしまう。その足取りは、最悪の現実から逃げるようで、そしてその声も、何かに怯えるように震えていた気がした…………。
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五月雨(プロフ) - 続き気になります！頑張って下さい (2017年2月27日 23時) (
レス) id: 532e1d96ce (このIDを非表示/違反報告)
朧 - 凄い面白いです。続きをまっています。 (2016年2月15日 18時) (携帯から) (レス) id: 7f70fb0fdf (このIDを非表示/違反報告)
☆ - すごい面白いですっ。更新頑張って下さいっ。 (2015年8月13日 11時) (レス) id: 44695f2e16 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 待ってました！！ ＸＡＮＸＵＳが一体誰のことを話していたのかすっごく気になります！！ これからも楽しみにしてます！ (2015年8月8日 14時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
lotus(プロフ) - 待ってました！これからも無理なく頑張ってください！ (2015年8月8日 11時) (レス) id: 2faa68524c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：干支神 | 作成日時：2014年7月13日 13時
