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「そういえば、幼稚園とか保育園とかは好きじゃないんだっけ?」
私もトーストを食べ終わってソファで体育座りをしながら暇つぶしにじっとテレビを見ていると、朝食の後片付けなのか皿洗いをしている保護者に声をかけられた。何でそんなこと知ってるんだろう、と思ったら、
「君の叔母さんから聞いたんだ」
と心を読んだような回答を聞いた。
私はその質問に頷いた。中身はとうに成人年齢を超えているのに、今更楽しめる気がしない。それに疲れそう。
「そうか…でも僕は家にいないこともあるし、君の叔母さんもいないことが多いからね…一人で留守番をさせるわけにもいかないし」
別に私、一人の方がいいんだけどな。
テレビの方を見ながら黙って聞いていると、そんな呟きが聞こえてきたのでそう思った。
「だから悪いけど…僕が仕事の時は近くの幼稚園に預けるけど、いいかな?」
強制ではなくお願いという形で言ってくる。まあ保護者からすると預けないと大変だから私は預けられるしか無い。私立探偵とは言っていたが、多分この家に住めてしかも幼児一人を養えるのなら恐らくお金に困っているわけでもないのだろう。お金に困っていないということは、中々に忙しいのでは。
なら、家にいつでもいるわけでも無いから私を一人で留守番をさせるのも心配だろう。…何か壊さないか、とかそういう意味で。
私は再び頷いた。
「ありがとう。まあ今日は晩御飯食べるまでは一緒にいられるから、大丈夫だよ」
幼子に語りかける時の口調だろうか。とっても優しげに私に話しかけているがそれでも警戒している数値が一切下がっていないことを私は見逃していない。何で未だにそんな用心しているのだろう。用心深すぎる性格なのだろうか。
「…何かしたいこととかあるかい?」
今日は私のしたいことを優先してくれるらしい。皿洗いが終わったのか私の隣に座ってそんな事を言ってきた。
少し考えてみたが私は読書以外、あれこれしようという欲求は湧かない。なので、首を横に振って否定を示した。
「そうか…なら近くに図書館があるんだけど、一緒に行ってみるかい?」
私の唯一の欲求に気付いたのか、保護者の提案したものは私にとって悪くはないものだった。…でも私、別に本好きだなんて一言も言ってないんだけどな。
「…数少ない君の荷物の中に、本が数冊くらいあったからね。本が好きなのかなって思って」
…さっきから保護者は心を読んでいるが、エスパーか何かなのだろうか。
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卵かけご飯の醤油 - みつるさん» ああ、確かに盛者必衰の方が多分内容的に合ってますね。私、てっきり諸行無常も盛者必衰も同じような意味かと思ってて…今ウィキ先生で調べてみました。どうやら意味合いが違うようです…わざわざご報告、ありがとうございます。修正しますね。 (2019年5月29日 19時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
みつる - 49ページなんですけど…諸行無常ってなんとも言えないという意味だと思います。多分盛者必衰の間違いかと…間違ってなかったらすみません(>_<) (2019年5月29日 18時) (レス) id: d6e134e20f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - すすぎさん» そうなんですか…もしよろしければその私の小説と似ているという小説の題名を教えてくれませんか?出来ればその小説と話が被らないようにプロットを書き直すつもりなので… (2019年5月26日 12時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
すすぎ - あまりにも似てるものがあったので..... (2019年5月26日 11時) (レス) id: 28118ed8c0 (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - ありがとうございます。まさか読みやすいというコメントを貰うとは思っていませんでした…嬉しいです。これからも更新頑張ります。 (2019年5月25日 14時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卵かけご飯の醤油 | 作成日時:2019年5月17日 15時