37ページ:予感 ページ37
空を見るのに飽きて前を向いていると、視力ギリギリで遠くで大の大人二人が走っているのが見えた。その二人は見覚えのある数値だったが、そんな事よりもその状況に首を傾げた。
一人が、もう一人を追いかけている。それも、鬼ごっこなどのお遊びのようには見えない。追いかけられている側は、どこか必死そうな…それこそ、命懸けで逃げているように見えた。
「…?」
数秒程で二人は、建物で私の視界から外れた。…あの二人は、見たことがあった。
一人はすぐに思い出せた。もう一人は…一回しか会ったことは無かったが、あの風貌はしばらくは忘れられないもので、覚えていた。
「…」
私は扉を開けて、勝手に外に出て二人を追いかけることにした。…買い物に行った叔母さんのことなんて気にも留めなかった。
そんな事より、嫌な予感を無視出来ない意思が
「はぁ…はぁ…っ!」
ここまで走ったのはいつぶりだろうか。幼稚園でもここまで走らない。呼吸するにも一苦労だった。三歳児…いや、この前誕生日を迎えたから四歳児か。どちらにせよ、幼児にこの距離は長すぎる、というくらいは走っただろう。
「…」
途中で見失いそうになった。見た所、あの二人の運動神経は良さそうだったし、幼児が敵うわけがなかった。ただ暗くてよく分からなかったが、遠くから聞こえる足音とやけに高い数値のお陰で場所は分かった。
この数値、暗闇の中でも何故かはっきりと視認出来るからこういう時には便利だ。人探しの時にも使えるから、数値様様なものだ。
結果、建物を特定することが出来た。段数が多そうな階段の上に、二人はいる。
「…っ」
ごくりと唾を飲み込んだ。冷静に考えてみたら、私がこんなことに首を突っ込まなくても良いのだ。大人のことは、大人がほとんど解決すればいい。
ただ、それでも放ってはおけない何かが私の中で渦巻いたのだ。
私は意を決して、階段を登ることにした。ただどうにも体に疲れが溜まっていたもので、私は甘えてゆっくり歩いて階段を上った。
靴音は、一切鳴らなかった。
「…?」
二人のいる階へと着くと、二人は何かしているようだったが、入り口からでは髪の長い男の人が邪魔で奥の人が何をしているかは見えなかった。
好奇心に駆られ、相手からは見えないようにこっそり入り口から移動し、適当な場所に隠れながら見た。
ようやくそこで、奥にいた…おじさんが自分の胸に黒い物体を向けているのが見れた。
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卵かけご飯の醤油 - みつるさん» ああ、確かに盛者必衰の方が多分内容的に合ってますね。私、てっきり諸行無常も盛者必衰も同じような意味かと思ってて…今ウィキ先生で調べてみました。どうやら意味合いが違うようです…わざわざご報告、ありがとうございます。修正しますね。 (2019年5月29日 19時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
みつる - 49ページなんですけど…諸行無常ってなんとも言えないという意味だと思います。多分盛者必衰の間違いかと…間違ってなかったらすみません(>_<) (2019年5月29日 18時) (レス) id: d6e134e20f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - すすぎさん» そうなんですか…もしよろしければその私の小説と似ているという小説の題名を教えてくれませんか?出来ればその小説と話が被らないようにプロットを書き直すつもりなので… (2019年5月26日 12時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
すすぎ - あまりにも似てるものがあったので..... (2019年5月26日 11時) (レス) id: 28118ed8c0 (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - ありがとうございます。まさか読みやすいというコメントを貰うとは思っていませんでした…嬉しいです。これからも更新頑張ります。 (2019年5月25日 14時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卵かけご飯の醤油 | 作成日時:2019年5月17日 15時