何であんたら数値そんなに高いの？【名探偵コナン】

１３ページ:質問 ページ13

「まるで、自分が死ぬことを知っているような口ぶりで話すんだね？」
「…そう？」

問い詰めるような口調で言われるものだから、ほんの一瞬だけ…私の秘密がバレたのだろうか、と錯覚した。…すぐに、そんなことはないだろう、と頭の中からその思考は追い出した。

「君には…自分の人生が見えているみたいだね」

どこか自信満々に言うものだから、もう見透かされている気がした。…不思議と心の乱れは無かった。言ってはいなかったが、別にバレたところで構わない。
どうせこの人生も無意味となって、次の人生にいくだけだ。そして次の生も無駄になり、そしてまた次の生も無駄にして…それで…

「…生きては死んで…ただ無駄な時間を過ごすだけ」

そんなものだよ？とちらりと保護者へと視線を送ると、保護者はこちらを見て目を見開いていた。
初めて、私に笑顔以外の表情を見せた。それは驚愕のような、困惑のような顔。…とっても珍しいな、と思った。でも、余所見運転は危ないと思う。

「前、見た方がいい」

ハッとして慌てて保護者は前を向いた。あのままでは交通事故になりかねなかったので、注意させてもらった。…落ち着いた保護者は、もう一度口を開いた。

「人生に、無駄なことなんて無いと思うけどね」

何かと思えば、そんなことか。…そんな、無駄なことか。

「…例えば、病院から貰ったお薬がある」

私は掌から、溢れんばかりの薬があるように手を広げた。

「一つ飲めば、十分…でも二つ以上一気に飲むと副作用が出かねない。飲み過ぎると体に悪い。…それと一緒、私の人生は」

一つで十分なのに、二つ三つは蛇足というものだ。…私はあの時、一回目の人生で…死ねればそれで良かった。二回目の人生や三回目の人生なんて、いらなかった。

「それと同じ。今の私の人生は」
「…今の、ねぇ…じゃあ過去や未来ではどうだった？」

…ああ、本当に目ざとい人だ。

「さあ？…寝る」
「…そうか、お休み。家に着いたら起こすよ」

これ以上話していたって、私には何にもならない。ここまで流暢に人と話すのも久しぶりだろう。だからなのか、身体が重かった。…一先ず寝よう。

私は静かに目を閉じた。居心地は全くよく無かったが、疲れがあったからかすぐに眠れそうだった。




「…子供が、そんな表情(カオ)をしないでくれ」

意識が飛ぶ寸前、保護者は…いや、安室透は…一瞬だけ、別人のように呟いた。その声色は何かに堪えているようで、やけに私の耳に残った。

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