愛 ページ49
ドラコとシーラは並んで座る二人を見守る。
スコーピウスはAの顔や首、足に出来た傷を見て心が痛む。
スコーピウスは両手でAの頬を包み込む。
ドラコとシーラは驚いて二人を見る。
ス「痛むか？ごめん、守れなかった______Aのこと守るって恋人になった時から決めてたのに」
シ「え？」
ド「え？」
ドラコとシーラは顔を見合せた後、もう一度スコーピウスとAを見る。
「ううん、平気。それに心はいつだってスコーピウスに守られてるよ______本当にありがとうね｣
Aがそう言うとスコーピウスの瞳に涙が溜まっていく。
ス「う、A、」
スコーピウスはAをきつく抱きしめて静かに涙を流す。
ド「え？」
シ「え？」
「スコーピウス、いつもありがとう」
ス「僕こそ、いつもありがとう、う、A大好き」
シ「ちょっと待って、二人とも。え？もしかして交際してるの？｣
シーラは二人の間に割って入る。
ドラコも流石に動揺を隠せない。
ス「そうだ、まだ言ってなかったんだった。父さん、僕Aが好きなんだ」
ド「そ、そうなのか、なるほど、そうか」
シ「ドラコ大丈夫？」
ド「うん、いや、驚いているだけだ」
スコーピウスもこんなに動揺している父は初めて見る。
「お母さん、私スコーピウスが好き。3年生から付き合ってるわ」
シ「なんで教えてくれなかったの」
「その、私も自分の気持ちに追いついてなかったから｣
Aは頬をほんのり赤く染める。
ス「えっと、父さん、シーラ…そういう訳です｣
スコーピウスも頬を赤く染める。
暫く沈黙が流れる。
シ「スコーピウスなら______Aを任せても大丈夫だと思うわ」
シーラがそう言えるのは、もう二人が離れることはないということが分かったからだ。
それはこの冒険を経て、更に強い愛で結ばれた二人を引き裂けるものなど何も無いということはシーラだけではなくみんなが分かっていることだった。
シ「ドラコは？どう思う？」
ド「私は______スコーピウスとAがそれでいいならいい」
ドラコはスコーピウスとAの髪を不器用に撫でる。
スコーピウスとAはニッコリと笑う。
ス「ありがとう、父さん、シーラ」
「ありがとう」
シーラとドラコは二人に優しく微笑んだ。
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作者名：ななや | 作成日時：2022年9月29日 19時
