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生徒の指摘に相澤は瞑っていた目を開きﾁﾗﾘと横目で見上げれば、同じく窺う目線とかち合う。
Aはそのまま片目を閉じ合掌する。いつか言っていた彼女の癖を見て、深く溜め息を吐いてみせた彼は再び瞼を下ろした。
呆れを隠そうともしない様子にAはくつりと笑い、相澤のいる座席とは通路を挟んで反対の窓際に荷物を投げてその隣に自分も腰かける。
全員の着席を確認後、バスは合宿場所を目指して出発した。
「お前ら！1時間後に一度、バスを停車させる＿＿＿」
話し始める相澤の声を遮る程、車内は賑やかだった。
静まる気配が微塵もないそれに若干顔を顰めるものの、特に咎める事もなく相澤は座り直した。
スマホ片手にタブレット端末を操作しつつ、Aは一部始終を横目に口角を上げる。
「珍しいね。止めないんだ？」
「騒いでいられるのも今のうちだからな」
「あはは！相澤さんすっごく怖い顔してる。何で？騒ぐ元気が無くなる程の試練があるの？それとも思わず声が奪われる位の絶望が待ってたりとか？」
「答え合わせは着いてからな。……それで、月慕は彼奴らに混ざって来なくていいのか？」
悪巧みをする愉し気な顔から一転、生徒を見守るような幾分か柔らかい瞳をAに向ける。
そんな相澤の言葉にｷｮﾄﾝとした後。Aは緩く微笑んだまま視線は遥か遠くを見やった。
「うーん、楽しい事は好きだけど今はいいかな。この束の間も彼らにとっては色褪せない思い出になるでしょ？未来が誇るヒーローの輝かしい記憶の宝石は透明でないと。いくら綺麗な色形でも、不純物が混じったら濁っちゃう」
「……」
「なーんちゃって！正直に言うと、眠すぎて気持ち悪いんだよね。今はお喋りよりも睡眠の気分」
そう言うAの隈で縁取られた目は今にも閉じそうな位に細められており、金の瞳も、宛も本物の蜂蜜のように蕩けていた。
報告書のデータ確認の為にタブレットを掴んでいた手も力なく投げ出され、本体も膝上に放置されている。
「これから嫌でも詰める事になる。着いたら起こしてやるから、今のうちに寝とけ」
「ありがと相澤さん。じゃ、お言葉に甘えて」
おやすみ、と舌足らずな呟きの後。直ぐに穏やかな寝息が耳に届いた。
(……寝顔は、しっかり子どもなんだけどな)
ﾁﾗﾘと様子を窺えば、鞄に頭を預けて寝入るAの横顔。
全てを見透かすような怜悧な瞳が隠れたその緩んだ表情には、未だあどけなさが残っていた。
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コロッケ - 本当に好き！主人公の性格とかも面白いしヒーローと呪術師の価値観の違いも上手く書かれてて最高です！是非更新宜しくお願いします！ (11月17日 2時) (
レス) @page17 id: 0002858abd (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 更新されててびっくりしました！これからも更新がんばってください！応援してます (10月19日 20時) (レス) @page16 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - 占ツクにこんな文章のしっかりしてる最高の作品があったとは。もう何回読み返したかわからない。更新お待ちしてます大好きです (8月30日 18時) (レス) id: b3cc1c8641 (このIDを非表示/違反報告)
わらび - 投稿ありがとうございます！オリ主ちゃんや、ストーリーが好みすぎて何度も繰り返し読んでます！これからも応援してます！ (8月21日 21時) (レス) @page15 id: 852819b8c2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのゴリラ - ほんまに好きです最新まってます (8月15日 23時) (レス) @page14 id: fa8371b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2022年8月29日 22時
