2人で練習 ページ4
文化祭の準備は順調に進んでいった。
当然文化祭準備中は部活はないのだけど、各々自主練には励んでいるようで。
そして、文化祭まで残り1週間を切ったわけなのですが。
今日は治と二人でラストシーンの練習をすることになった。
貴「と言っても。これは演劇用に優しく作りかえられたものであって、実際のグリム童話の白雪姫って結構エグいんよなあ」
治「確かに。白雪姫はキスで目覚めては無いしな。棺に入れられた白雪姫の喉に詰まった毒林檎が、小人が躓いた事によって出てきて生き返ったんやし。」
貴「そして悪い女王は真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ手死ぬまで踊り続けさせられた…って中々ハードやで」
今回の台本は、白雪姫…と言うよりかはそれに近しいパロディみたいなものか。
生徒会には演劇部の脚本のエキスパートがいるらしく、よく作り込まれた台本だ。
貴「でもよく出来とんね。この台本。」
治「確かに。所々ミュージカル調なのはどうなんかとは思うけど」
2人で台本読みをしながら、ゆっくりと進めていく。
そして、ラストシーン間近。
貴「…なんて美しい方なのでしょう。」
痛そうだけど、空き教室の地べたに寝転がっている白雪姫役の治に向かってそう呟く。
貴「あー。それでここの小人がもしかしたら、王子様のキスならば目覚めてくれるかもしれないって言うんよな。」
治は目をちらりと開けて、まあそんなん奇跡みたいなもんやけどとツッコミを入れてくる。
貴「分かりました。…ここフリやから、どう合図出せばええかなあ。」
演劇中は静かだろうし、声を出すのもはばかれる。
治「まあそこは感でいくしかないやろ。何となくでできるとは思うけどな」
まあ確かにそうかもしれない。と納得してまた練習に取り掛かる。
治のお姫様役、案外悪くは無いと思う。顔立ちも整ってるし、衣装着てウィッグ被れば結構カモフラージュ出来ると思われる。
治「まあ…大体良くなってきたんとちゃう？」
貴「そやな。今日はここまでにしとこか」
あまりやり過ぎても逆に分からなくなりそうだったので、キリのいいところで今日は終わりにする。
治「ちょっとだけ、楽しみになってきたわ。」
貴「ふふ、私も同じこと思ってるで」
夕焼けに照らされる治の横顔が、とても綺麗だなと思った。
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矢風(プロフ) - 黒瀬さん» そう言って頂けると、励みになります…！更新は不定期なのですが頑張りますね！ありがとうございます！！ (2020年3月9日 19時) (
レス) id: 62a30a66bf (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬 - とても面白くて続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年3月9日 0時) (レス) id: c0f0417cc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：矢風 | 作成日時：2020年1月20日 1時
