ちょっとだけ違ういつもの夜 ページ8
牛島くんにせっかく送って貰ったのに、さっさと踵を返すなんて何をしてるんだ…とショックを受けながら、鍵を開けて家に入る。
「ただいま」
家には誰もいない。両親は2人とも残業だから、家には私一人だけ。カバンを置いて、キッチンへ向かう。
両親の分も含めて夕ご飯を作る。
「今日は、カレーかな」
夜は少し寂しい。ご飯を作っていると毎日思う。でも、今日は少し気分が上がっていた。
「牛島くんとお話、楽しかったな。」
あまり男の人とは話さない私でも、何故か牛島くんとは楽に話せた。なんというか安心感がある。お父さんみたい、って言うのは私の中ではあながち間違ってはいないと思う。
「あ…絵を誉めてくれた事と、送ってくれたお礼に何か作ろう…」
カレーを煮込んでいる間に、今からでもまだ簡単に作れるクッキーの仕込みをした。
「ちょっと手を込めて、アイシングにしちゃおう…」
料理をするのもお菓子を作るのも好きだ。誰かが喜ぶ顔を見るのは、私にとって幸せな事の一つでもある。絵も同様だと思っている。ちっぽけな私でも、なにか人の為に出来ることがあるんだなって、ここで再確認できる気がした。
「牛島くん、喜んでくれるかな…」
今日はなんだか、色々あったけど新しい発見があったりで、楽しい日だったな。
煮込み終わったカレーをお皿に三人分盛り付け、2つは冷蔵庫に。1つはテーブルに。準備してあったクッキーはオーブンに入れ、焼き始める。
一人で食べる夜ご飯は、今日はいつもよりちょっとだけ美味しく感じたかもしれない。
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作者名:矢風 | 作成日時:2019年9月30日 22時