鷲と兎【牛島若利】 (ページ33)

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妖怪と獅子ページ33

「でも小学校の頃はあたしもそんなに今みたいな性格じゃなかったしさ」

「そうだったよね。琉璃ちゃん、今よりは大人しい子だったもんね。私が言えた事ではないけれど…」

「大人しかったとは思うけど、今の面影も充分あったと思うヨ」

「獅仗はライオンみたいだな」

確かに。テニスの試合を見に行ったことがあるけど、その時の琉璃ちゃんの顔はいつも真剣で、獅子奮迅という言葉が似合っていた。

「そう言えば私が昔コンクールに出した琉璃ちゃんをイメージして描いた絵のタイトル、「獅子奮迅」だったな…」

「そうだったねえ。あれは凄いセンスあったなあ。絵も含めて」

「エー、何それ俺も見たい！」

「部室に残ってるはずだから、後で見せられると思う…琉璃ちゃんは見せても大丈夫？」

「あたしは全然構わないよ。」

琉璃ちゃんからも許可を貰ったので、今度見せるね。と天童くんと約束したら、天童くんはなんだかソワソワし始めた。

「ネ～俺も描いてよー！」

天童くんからのリクエスト。嬉しいけど、天童くんは私からするとつかめない所があるので、何と言うか描くイメージができない。
私がうーんと少し悩む顔をしていると、

「天童って何か描きづらくない？プレーしてるとこ見てたりするけど、何と言うか…」

「妖怪、だな」

牛島くんと琉璃ちゃんが口をそろえて言う。

「妖怪…」

私も天童くんと妖怪を重ね合わせてイメージする。

「妖怪！？いやまあ確かに？言われたことはあるかも？いやいやちょっと！Aちゃんもまじまじ俺を見ないでネ！？」

「あはは、天童が慌ててるよ」

「元は琉璃ちゃん発端だよね！？このゲスライオン～！」

「ゲスは天童でしょ」

「ゲスはゲスでもそのゲスでは無いんでゲス～！」

2人の言い争いを見てると、本当に気がしれた仲のいい友人なんだなぁと思う。

獅子と妖怪……。今描き途中の2つが完成したら、それをイメージして描くのもありかも…と私は思った。

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