観察 ページ30
さっきの沈んだ気持ちは琉璃ちゃんのおかげでとうに消え、約束のお昼ご飯までもう少しだ。
ちなみに牛島くんにもホームルームが終わったあと確認を取ったら、
「昼を一緒食べるくらい構わん。」
だそうだ。
私は今日の授業中のあいだずーっと牛島くんを観察していた。だけど、あまり視線を感じさせないように…。私にとっては得意分野だ。目立つことがあまり好きではないから、こういう忍者みたいな陰密行動は得意なのだ。
隣の琉璃ちゃんからは変な目で見られたけど…。
PM 12時30分、やっとお昼の時間だ。
鐘が鳴り終わると、牛島くんが私の机にやってきた。
「藤兎、授業中ずっと藤兎の方から視線を感じた」
あれ?もしかしてバレている…?
「うーん、バレないように見てたはずなのに…」
「A声に出てる」
「はっ…」
「俺を観察したいのか?ならばすればいい。暇な時間があれば、被写体…?になるぞ」
「い、良いんですか牛島くん…!!」
正直、引かれるかなって思っていたけど予想外の答えが返ってくる。
…これは夢でしょうか。
本当に、牛島くんをじっくりと観察することが出来るんだ…!
嬉しすぎていつも以上にニコニコしてしまった。
「A、すごく嬉しそうだねえ。牛島ありがと」
「俺は別に何もしていないが」
「そういう所だよね、牛島って。でもAが喜んでくれてよかったって思ってるでしょ?」
「そうだな。藤兎の喜んでいる姿は、なんだか見ていてほっこりする。」
「えっ」
「はぁ〜、さすが牛島。天然タラシめ」
「?」
そうこうしているうちに、三組の教室のドアがガラッと開いた。
「若利くんに琉璃ちゃんにAちゃん〜!昼ごはん食べヨ〜!」
天童くんが来た。
さて、お昼ご飯の時間。どんな話が聞けるのだろう?
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作者名:矢風 | 作成日時:2019年9月30日 22時