優しい話/まふまふ ページ1
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ちょっと話がある、と幼馴染の桜良からLINEが来たのはつい昨日のこと。
本当は昨日のうちに話とやらを聞きたかったけど、生憎委員会があった為、今日会うことになった。
別に、クラスが違うとか学年が違う訳でもないけど、なんとなく学校では面と向かって話すことはそうそう無いし、何かあったら、家が近所だからどっちかの家に行けばいい。
まあ、そんな話すようなことなんて無いけど。強いて言うなら、僕は彼女のことが好きだ。もちろん、恋愛的な意味で。
放課後、桜良に言われた通り図書室の奥で待っていると、「まふ」と言う声が聞こえて振り向くと、前に見た時よりも顔が白くなったような桜良がいた。走ってきたのか少し生きが荒いようにも見えた。
「……それで、なんかあったの?」
桜良が僕の前の席に着いても何も話し出さなかったから、僕から話し掛けると、少し泣きそうな顔をした。
「えっ、ちょっ、ほんとにどうしたの?なんか、悲しいこととかあったの?」
僕が焦って聞くと、首をふるふると振って「…私さ」とか細い声で話し出した。
「……私さ、死んじゃうの」
数ヶ月前。
学校から帰ってきてすぐ、私は玄関で倒れてしまったらしい。
お母さんが、私が倒れたことに気付いてくれて救急車を呼んだそうだ。
病院に着いてから少しして目を覚ましたけど、ちょうどお医者さんと私のお母さんが話し込んでいた。
「……じゃあ、もう、娘は…、死んでしまうんですか……?」
「……長くてもあと、1年あるかないか…。もしかしたらそれよりも短くなる可能性があります」
「なんで……!何とかできないんですか…!」
「……申し訳ありません」
お母さん、泣いてるな。
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作者名:阿崎 | 作成日時:2021年1月29日 17時