頭痛が痛い【歌い手】

十四錠目 ページ15

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｢えっ？いや、嘘ですよね……、そんな…だって……｣



｢……お気持ちはお察しします｣



お気持ちはってそんなの、僕の気持ちの何処が分かるってんだ。



｢……ふざけんなよ｣



頬っぺに温かいものが伝った。


それが涙だと気付くのに時間はかからなかった。



しばらくずっと泣いていた。



泣いている間ずっと、忍野さんは僕の背中をさすってくれた。




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｢……すみません…なんか…、迷惑かけちゃって……｣



｢大丈夫ですよ。よくある事ですからね…。暴れられないので全然なんともないですよ｣



｢ははっ｣って笑いながら言うもんだから、それ笑えないでしょと思ったが、医者は、こういう場面を何度も体験しているのだろう。


…ってこの言い様だから、きっと忍野さんの前で暴れた人がいるのか……？そして、それを忍野さんは止めたのか…？え、この人絶対強いじゃん。僕なんかが押さえられたりしたら絶対骨折れそう。いや、折れる確実に。




｢…でも…、あの、本当にありがとうございました｣



｢ええ。佐倉田さんの目が覚めたら、また連絡させて貰いますね｣



｢はい、ありがとうございます｣



｢ではまた｣と言って病院を出る。


ちょっと歩いてから振り向くと、もう入口には警備員さんしかいなかった。



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