君と 9

連絡待ち ページ38

『それで、その元カレとはどうなんですか？』



今度は夏姫ちゃんからの意外な質問。
私の恋の話なんて興味無さそうなのに。



「今は、連絡待ち……」



香織を通して隆弘と連絡をとりたいと伝えたら、“体調が落ち着いたら連絡する”という返事だった。



『どのくらい待ってるんですか？』


「……もうすぐ2週間になる、かな」


『は？』



夏姫ちゃんが長いまつ毛をバサバサとさせて驚いている。



『みおさん……それって、可能性ゼロですよ。諦めた方がいいですね』


「うっ」


『そうですよ。みおさんには浮気する男なんてもったいない』



紗和ちゃんも加わり、後輩2人に憐れみの目で見つめられる。



「…そうかもしれないね。でもいいの。例え私の想いが伝わらなくても。自分の気持ちに正直にいられれば」



隆弘にとって、私はすでに過去になっているんだろう。
だから連絡が無いんだと思う。



私が前に、もう会わないと言ったんだし、仕方ない。
大事なのは自分の気持ち。



後輩2人には痛い先輩だと思われてるんだろうけど、私は後悔しない。



『それにしても、みおさんの元カレってどんな人なんですかー？ みおさんが結婚破談にしてまで忘れられない男に、私は興味があります』



夏姫ちゃんの質問？尋問？はまだ続く。



「えーと……、普通の人だよ」


『絶対違う。浮気されても忘れられないって、よっぽど金持ちの男か、テクニシャンか、……じゃなければ、みおさんがどえむ』


「⁉︎ ちょっと、夏姫ちゃんっ！ 全部違うっ」


『ぶっ！ あはははっ！ 確かにそうかもっ！！！』


「ちょっと！ 奈緒まで笑わないでよ」


『奈緒さんは知ってるんですか？ みおさんの忘れられないっていう‘元カレ’』



今度は紗和ちゃんが奈緒に質問する。
奈緒に余計なことを話されないように「奈緒は知らないよ」と答えようとしたら、



『あー知ってるよ。ていうか2人とも顔見たことあるんじゃない？』



⁉︎
⁉︎
⁉︎



奈緒からとんでもない発言。



『えっ⁉︎ 私たちも知ってる人⁉︎ 誰誰⁉︎』


『ってことはうちの会社の人か取引先？』



案の定紗和ちゃんと夏姫ちゃんがいらぬ詮索を始める。



「奈緒っ、適当なこと言わないで」


『いーじゃん、どうせ2人とも酔って覚えてないって」



奈緒…、
他人事だと思って面白がってる。

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