君と 9

忘れたい(side N) ページ34

いい加減忘れたい。
みおは豊田さんと結婚するんだから、いつまでもひきずってられない。



いつかは忘れられんのかな。



みおのこと、過去にできるのかな。



『まぁでも、新たな出会いも確かに良いかもしれないですね。いい加減な火遊びはダメですけど。

西島さんと伴走しつつ、でも西島さんの暴走には適切にブレーキをかけてくれるような人、理想ですね』



「……」



そんなの、みおしかいない。



『今橘さんを思い浮かべましたね？』


「……」


『不倫は絶対ダメですよ。絶っ対』


「！…わかってるよ」

　

……思わず声出ちゃったじゃん。



わかってるよ。
時間はかかるだろうけど、みおのことは忘れる。
いつかちゃんと、忘れるよ。



……と思ってる矢先。



香織からメッセージが届いた。



“みおが話したいことがあるって。ニッシーの番号みおに伝えていい？”



「……」



結婚の報告なら要らない。
そんなの、俺まともに受け入れられる自信ない。
まだ無理だ……



ていうか一生聞きたくない。
みおの口から結婚なんて……



‘今声出せないから、体調が落ち着いたら俺から連絡するって伝えて’



この返事が俺のいまの精一杯だった。

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