つらい別れ ページ30
「太一、私何も知らなくて。ありが…」
『みお、俺はありがとうなんて言ってもらえる資格ないんだよ』
「……どうして」
『西島君の君への想いには敵わない。もし俺が西島君の立場だったしても、そんなことできないと思った。
俺はずるいんだ。本当は西島君の本音に気づいてた。マネージャーとの浮気の話はみおと別れるための嘘だって。俺は気づいてたのに、みおには言わなかった』
「太一……」
『俺がみおを離したくなかったんだ。俺が幸せにしたかったから……』
太一は左手で私の右手をきゅっと握る。
苦悶に満ちた太一の表情は、その想いとともに私の胸を突く。
滲んでいく視界を必死で元に戻そうとするけど、込み上げてくるものは止められそうにない。
「太一っ……、ごめんなさ、」
『みお、謝らなきゃいけないのは、俺の方だ。ずっと、ごめんな……』
違う、太一は何も悪くない。
悪いのは私。
あなたの優しさにたくさん支えられて、
あなたの真心のおかげで人生が彩りに溢れた。
太一と過ごした2年間は、とても幸せに満ちていた。
なのに、結局隆弘を忘れることができなかったのは私。
自分の気持ちと向き合わずに、太一の優しさに逃げていた。
でもこれだけはわかっててほしいと、伝えずにはいられなかった。
「太一は私に幸せをたくさんくれた…だから私は今日まで生きてこられたの。本当だよ……」
『っ、ありがとう、みお……』
太一の声は震えていた。
私の髪を撫でる右手も。
「私の方こそ……ありがとう。ごめんなさい」
太一の目をみて、何度も伝える。
ありがとうと、ごめんねを。
『みお、大好きだよ。今も。』
「太一、私も、大好きだった。大切だったの。だけど……」
『うん、わかってるよ』
「うっ……」
泣いちゃいけないって思うけど、やっぱりつらい。
変わらぬ優しい眼差しを私に向けてくれる人を、
たくさんの愛情を注いでくれる人 を、
傷つけなきゃならないなんて。
「……ごめんなさい。私は太一と結婚できない……」
『うん、…………みお、………別れよう』
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さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです!続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます!胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さら | 作成日時:2021年5月15日 11時