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勇気をもらえた ページ40

電話を終えて車を発進させた西島君は、普通。



本当に、普通。



私はさっきから、西島君にどんな仕返しができるか考えている。



いつもからかわれていて、なんだかくやしくて。



でも、良い案がうかばない。



……



まぁ、いっか。



今日は西島君のおかげで、久しぶりに声出して笑ったし。



状況は全く変わっていないのに、
西島君に気持ちを話しただけなのに、



心に光がさしたように、彼に勇気をもらえた。



西島君は、私の気持ちを否定することは無かった。



ただ、聞いてくれて、受け止めてくれた。



そして、さとしてくれたんだ。



原田主任とのこと。



香織とのことを。



前に進みたい。



そう思った。



「西島君、ちょっとだけ、ラインしていてもいいかな? 香織と」



運転してくれている彼に確認すると



『いいよ、俺のことは気にしないで』



そう言ってくれた。



香織に謝りたい。
そして、話がしたい。



ずっと避けて、傷つけてきてごめん。
前に進みたいと思ってる。



香織と会って、そう伝えたい。



みお今までごめんなさい。会って話がしたい。来週、会いに行ってもいい?



香織もちろん。私も会って話したい。うちにおいで。



目頭が熱くなる。



内心とてもこわかった。
香織はもう、勝手な私に愛想をつかしてるかもって。



スマホを握りしめ、涙がこぼれないように耐えた。



『香織、会いたがってたろ?』



「うん…」



泣いちゃだめ、私より香織の方がつらいんだから。



そう思っていたのに、西島君の言葉でまた、涙腺は崩壊してしまった。



『良かったな』



「うん…」



震える声で返事をすると、西島君は私の頭をぽんぽんと、優しく撫でてくれた。

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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時

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