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近い ページ38

久しぶりに声を出して笑った気がする。
西島君のおかげだね。



ちょっとたれ目で、笑うとできる目尻の笑いジワ。
彼の柔らかい笑顔は、私を安心させてくれる。



「ありがとう。西島君のおかげで心が軽くなった」



素直に感じたことを言葉にして、西島君に伝えたら、彼は黙ってしまった。



何か、言ってくれないの?
黙って見つめないでよ。



西島君のアーモンドみたいにシュッとした目で見られると、なんていうか、心を見透かされてる気分になる。



あれ、



西島君、どこを見てるの?



私の、



唇…?



私の口に何か付いてる?



どうしよう。
胸がざわついてきたよ。



西島君?







眼差しが、変わった。



やっと私と目を合わせてくれた彼の瞳は、熱を帯びている。



なんで、そんな目で私を見るの…



どうしていいかわからないよ。



え、何? 何? 何?



「に、西島君…?」



近づいてきた彼の揺れる瞳。



さらに近くなる距離。



西島君はまだ私の目を捉えたまま。



近い、近い、近い。
どうしよう。



彼の視線がまた私の口元へ移った時には、もう私の視界のほとんどが、西島君の顔。



動けない…








Prrrrrrrrrrrrrー



彼が動きを止めた。



『……はい、…うん、大丈夫』



スマホを手に取り会話を始めた西島君。
同時に私との距離が離れた。



今の、何?



キス、されそうだった?



いやいや、ないない。



顔に何か付いてる?



助手席側のサイドミラーで確認したけれど、特に変な所は無い、と思う。



何だったの、まだドキドキしてる。



彼に聞こえてしまうんじゃないかって思うくらい、私の胸は鳴っていた。



もしかして、からかわれた?



あり得る。
西島君て人のことからかって楽しんでいるところあるし。



やられた。



そうだ、絶対そうだ。



西島君は何も無かったように、普通に会話してる…



私、いつもからかわれてない?

どうしたんだ、俺(side N)→←今日1番の笑顔(side N)



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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時

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