誘い ページ28
資料の修正が終わり、会社を出たのは21時過ぎだった。
イルミネーションで彩られた街を歩きながら、香織の事を考えた。
香織からプロポーズの報告を受けたあの日から、彼女と会っていない。
会えない。
幸せそうな香織の笑顔を原田主任の婚約者、永井さんと重ねてしまい、罪悪感でいっぱいになる。
大好きな佑一郎君と結ばれる香織に、おめでとうって、不倫してる私が言えるわけない。
だったら早く原田主任と別れればいい。
それもわかっている。
でもできない。
私が避けてること、香織は気づいてると思う。ひどいことしてる。
でも、どうしても香織と会えない。
帰宅してスマホを見ると、西島君からメッセージがきていた。
西島こんばんは、今週の木曜日、会えない? 話したいことがある
西島用があるなら、その後でもいいよ。とにかく木曜日、俺と会う時間つくって。OK?
西島何時でも、待ってるから
急な誘い。
木曜はあさって。
断りたいけど、断れない雰囲気を感じる西島君からのメッセージ。
どうしよう…
話って何?
西島君とはあの時以来会っていない。
たまにラインでやり取りはしているけれど、映画や音楽の話題がほとんど。
あらたまって話って、なんだか嫌な予感がする。
みおわかった。仕事が終わったら連絡するね
どんな話なのか確認したかったけれど、たぶん彼は教えてはくれないだろうから、それだけ返信した。
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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時