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夜道(side N) ページ22

蒸し暑い夜。
歩いてるだけで汗をかくけど、それもいいな、なんて思う。



隣を見れば、さっきまで着ていた薄手のカーディガンを脱いで、腕に掛けているみお。



ノースリーブの花柄のワンピ ースからのぞく、色白で華奢な腕。



俺がいなかったら1人でこの道を帰ってたのか。



住宅街、街灯はあるけど人はいない。



しっかりしてそうだけど、無防備だよなぁ。
本当に、一緒に来て良かったわ。



そんな俺の気も知らず、隣で鼻歌を歌ってるみお。



「佑一郎と香織、良かったな」



『ほんと、香織嬉しそうだったなぁ』



「結婚式やるって言ってたよな。俺その日は1日オフもらうって決めた」



『あははは、決めたんだ。私も楽しみだな、香織の花嫁姿』



そう言って空を見上げて微笑むみお。
嬉しさがにじみ出ているその横顔。



だけど一瞬、表情が曇った。



気のせいかな。



俺何か言った?
それとも、何かした?



勝手に名前を呼びすてにしてるから?
強引に送る、なんて言ったからかな。



いや、そんなんじゃないよな。
この表情は。



あのカラオケの時に見た表情と同じ、寂しそうな、何とも言えない顔。



何を考えてるんだろう。



『星が良く見えるね、今夜は』



「あ、そうだな」



俺も一緒に空を見上げた。



「でもやっぱ北海道の星空が1番だな」



『うん、北海道はこことは比べ物にならない。でも私、東京の夜空も好き』



みおはそう言って笑顔を俺に向けたけど、哀しそうな瞳が気になる。



みお、何かあっただろう?

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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時

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