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送る ページ21

洗い物を終えて、3人でコーヒーを飲みながら、佑一郎君のプロポーズの話題で盛り上がった。



香織は詳しい言葉は教えてくれなかったけれど、どうやらサプライズだったみたい。



私と西島君は2人で、うらやましいな、いいな、を連呼。
本当に幸せそうな香織の笑顔に私も顔がにやにやしちゃう。



佑一郎君と幸せになってほしいな。



時計を見ると、10時をまわったところ。



「じゃぁ私、そろそろ帰るね。長居しちゃった。楽しかった。次はうちで飲もう」



『うん、楽しかったね。洗い物ありがとね』



「いいえ、香織、おめでと」



私が立ち上がると



『俺も帰る。一緒に帰ろ、みお』



西島君も立ち上がった。



さっきから西島君に名前を呼び捨てにされてる…
べつに構わないけれど、急にこの1時間弱で距離を詰められているような。



『じゃぁ行こう』



警戒心を抱く私を気にする様子も無く、スタスタと玄関へ向かう西島君。



腑に落ちないなぁ。



『香織、佑一郎悪かったな。上機嫌でピッチが早かった』



『気にしないで、ニッシー。逆に送ってくれてありがとうね。お世話になりました。みお、楽しかった、またね』



「うん、またね。香織、おめでとう」



香織の幸せな笑顔に見送られ、西島君と玄関を出た。



「じゃ、私の家ここから歩いて15分位だから、歩いてくね。おやすみ西島君」



『ちょっと待ってよ、1人で帰るつもり? 一緒に帰ろって言ったじゃん。送るよ』



「いいって、すぐそこだから」



っていうか、腕、離してよぉ。
急にびっくりしたよ。



香織達のマンションのエントランス前で、西島君と別れようと思ったら、彼に腕を取られた。



『ダメ、送る。この時間に女の子1人で帰すこと、俺できない』



西島君はそう言うと、私の返事を待たずにまたスタスタと歩き出した。



私がその場で立ったままでいると



『こういう時は、“ありがと♡”って可愛く言って、ついてくればいいんだよ』



立ち止まって私を振り返り、口角をあげる彼。



「はいはい、わかりました」



私も歩を進めて西島君の隣に立ったけど “ありがと♡” は言えない。
無理。



『かわいくないなぁ、みおって男に甘えるの苦手?』



「そんなこと、あるかも」



私の歩幅に合わせて歩いてくれる西島君。



『しっかりしてそうだもん、雰囲気が』



「そうかな…」



そういうあなたは、女の子の扱いに慣れてますね。

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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時

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