7色の後ろ側 9《赤》

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「え、と」


想定外の事で言葉につまる。
だって、まさか。
これだけ騒がせた私にまた声をかけてくれるなんて思ってなかった。


ジ「僕はYOU達が働く姿を直接見る機会ってそんなにないんだけど、周りから話を聞いたりはしてるから。
YOUが慣れない環境の中頑張ってたのは知ってるよ。

僕はまた、君と働きたいと思っいる。
もちろん以前みたいにマネージャーとしてというのは難しいんだけど。
幸い僕の事務所は規模もそれなりだからね、別の部署でも君に向いている所は必ずあるよ」




社長が直々にこんな事を言ってくれるなんて。
そんな風に言われて嬉しくない訳ない。



ジ「でも、条件が一つあるから。
聞いた上でYOUに判断してほしいんだ」





一度カップに視線を落として、また私に視線を合わせる。





ジ「重岡との関係を、終わらせる事」





「...、っ、ごほっ、..すみ、ませっ」



いつ、誰から聞いたんですか。
そう言いたかったのに喉で言葉がつっかえて、不思議なものでむせ返ってしまった。
週刊誌？ネット？世間にもうそんな所まで知られているの？


ジ「...大丈夫かい？
驚いただろうけど、これは重岡本人から聞いた事だから。
僕も誰にも伝えていないし、今の所そのつもりもない。

ただ、今の重岡やジャニーズWESTの状況を判断して、2人の交際を知った上で君を再度採用する事はできない」


そりゃ、そうだ。
そんなリスキーな事、したいと思う人がいる訳ない。
でもよかった、どこかに情報が漏れてるわけじゃないんだ。



ジ「重岡はね、YOUを守りたいんだって。
それが自分じゃできない事も自覚してたよ。
じゃあそれができるのはって考えて、事務所に...まぁ社長の僕に、頭を下げて頼んできた。
彼にも同じ条件を伝えてはいる」


「...その上で彼は了承したって事、ですか」


社長が静かにコーヒーに口をつけた。
否定しないって事は、そういう事なんだろう。


それは、つまり。
大毅は私と別れる選択をとったっていう、こと。





ジ「戻ってきなさい。
今度こそ必ず守ると約束するよ。

報道陣が引いたからって今すぐとはいかない、暫くの間、時間はかかるけどその間の仕事も工面する。
研修と思って他の事務所で経験を積んで貰えばいい。

YOUだってもう、この世界の魅力に嫌という程気づいてるはずでしょ」



そう、彼らだけじゃない。
キラキラしてカッコよくて素敵な人は他にもきっといて。
私はたまたま最初がWESTだっただけ。
今頷けば、どんな形でもこの世界と関わる事が、できる。


渇いた喉を潤したくてカップを覗いたけど、もう中身は空だった。

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