41 ページ41
社長が用意してくれたタクシーに揺られ、到着したのは昔ながらの喫茶店。
そろっと入ると、薄暗い店内とその全体を包むレコードから流れる優しい音楽。
ザ・マスターと言わんばかりの年配の男性は、白髪に丸メガネでベストに蝶ネクタイまでつけて。
グラスを磨く姿がとても様になっている。
そこに置かれたお洒落なアンティークのソファやテーブルを見て、正直ちょっとテンションが上がった。
外よりずっとゆったりとし時間が流れているように感じる店内で社長を探す。
...人が全然いないのに、見当たらない。
不安げにマスターさんを見たら、穏やかに微笑まれて奥にひっそりとある階段を教えてくれた。
ジ「わざわざ来てもらってごめんね」
「いえ、とんでもないです」
登った先にあった下のフロアより更に狭いスペースは書斎をモチーフにしているのか、本棚にたくさんの本が並んでいて。
重厚感のある雰囲気に社長はとても似合っていた。
そして雰囲気に飲まれて私の足取りは少し重くなる。
ジ「座って。
...僕のね、お気に入りの喫茶店の1つなんだ。
何飲むかい？」
「失礼します。
えっと...そしたらホットのカフェオレを」
ジ「僕はコーヒーのお代わり頂こうかな。
そこの電話とってみて」
そう言われて、これまたお洒落な黒電話の受話器を半信半疑でとる。
『ご注文お決まりですか？』
「！！！」
驚いて社長を見ると、社長が嬉しそうに笑った。
しばらくして届けられたコーヒーとカフェオレにお互いほぼ同時に口を付けた。
...美味しい。
ジ「他にもお気に入りの店って沢山あるんだけどね。
この前重岡とも行ったよ、蕎麦屋さん」
大毅の名前が出て、ドキリとする。
タイミング的に恐らく、私が辞めると伝えた日。
ジ「焼酎なんて飲んでさ。
大きくなったなぁって思ったよ。最初見かけた時は本当にね、全然ダメダメだったから」
そう言う表情は優しくて、社長がタレントや社員を我が子のように思ってるって、何度か聞いてきたけど。
本当にそう思ってるんだと感じる。
「...すみませんでした」
ジ「何が？」
「今回の件、たくさんの方に迷惑をかけてしまって。」
ジ「それはもういいよ。それよりYOU傷どうなの？お風呂とか大変じゃない？」
「利腕じゃないので割とどうにかなってます」
ジ「そう。ホテル生活も明日で終わりだから。
朝迎えを寄越すからね」
「ありがとうございます」
ジ「その後の事なんだけど。
...YOU、事務所に戻ってくる気ある？」
未来の事なんて何も思い浮かばない。
それでも確実に、時間は進み続けてく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 697人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
News9864915(プロフ) - 藤井くんの「俺がスマホ無くしたらどうすんねん」でないちゃいました泣 (2020年3月18日 23時) (
レス) id: 7b9d7e55b8 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - Mitarashiさん» コメントありがとうございます！そんな風に言ってもらえるととても嬉しいです！更新頑張りますね！ (2019年12月10日 8時) (レス) id: bac35b65ce (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 27さん» コメントありがとうございます！嬉しいー！なかなか話が進まずすみません...、更新頑張ります！ (2019年12月10日 8時) (レス) id: bac35b65ce (このIDを非表示/違反報告)
Mitarashi(プロフ) - 毎日楽しみに読ませてもらってます！細かい設定までWESTっぽさが出ていて大好きです(≧∀≦)このお話を読んでさらにWESTが好きになりました！これからも更新頑張ってください！！ (2019年12月4日 16時) (レス) id: 3ccceae874 (このIDを非表示/違反報告)
27 - 毎日更新楽しみで1日軽く五回は更新確認してるくらいのらさんの書くお話がすきです（ ; ; ）もう三回は見返しました！のらさんの書くしげものんちゃんも可愛すぎます（ ; ; ）これからも更新楽しみにしてます！ (2019年12月2日 23時) (レス) id: 7e3c9aa42a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のら
| 作成日時：2019年11月14日 13時
