7色の後ろ側 7《赤》

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重「なんやねんそれもぉー...！！」


まぁそうだよね。
神ちゃんならともかく、しげがそんなの気づくはずがない。


ごろんと仰向きで寝転がったしげには正直ちょっと同情する。
あれだけ集中してくれてた訳だし。


重「重岡カラー一瞬の灯火やんけ」

「そう言われると響はいい感じだよね(笑)」

重「なんでやねん(笑)」


だって、ちょっとカッコよくない？(笑)

これが深夜の恐ろしさ。
こんなしょうもない事でもツボに入って笑いが止まらなくなる。


「ふっ..(笑)」

重「何笑てんねん(笑)」

「私の爪、一瞬の灯火纏ってる(笑)」

重「何もおもろないわ(笑)」


そう言いながらしげも笑ってて。
余計面白くて、楽しくて、なんか幸せで。


一頻り笑って、爪も乾いた頃私達は笑い疲れてソファに並んでもたれてた。


重「なぁ」

「何？」

重「ちょ、これ見てや」


そう言ってしげが鞄からとりだした小さなビニール袋の中には...雑草？いや、アイビー、だ。


「何これ、どしたの？」

重「ロマンチックな事したろと思ってんけど」

「ふ(笑)
やけに今日拘るね、それ」

重「今日くらい拘るわ。
好きな奴に告白する気やってんもん」


そう言われた瞬間、しげと目が合った。
私今、どんな顔してるんだろう。


重「小洒落たもんプレゼントして。
ほんでさ、あれやろ？花とかあげんのやろ？

やけど俺さすがに花屋は恥ずくて無理やって。
いうて花なんかそのへん道咲いてるやろーって思ってんけど、全然咲いてないねんな(笑)

Aのマンションの駐車場のとこでさ、慌てて見つけたんがこれ。謎のツタ(笑)」


しげが駐車場で、急に消えたのってそういう事、だったの？


重「何かもわからんけどこれ、クランクアップでもらう花束によう使われとるから！
あれやろ、ちょっとええツタやろ？(笑)」


笑いながらそう言ったら、私の腕を掴んで引っ張り上げられて。
しげと向かい合わせに立つ。


重「俺、やっぱロマンチックな事とか痒いしさ、上手いことできひんけど。

あれや。お前の事笑わせたるし、誰よりも幸せにしたるからさ。
...俺にしとけや」


ほれって差し出されたアイビーは葉がちぎれてる所もあるし、なんならちょっと土がついてて、本当に不恰好。


「...」


何も答えないでいる私を見て、しげは体を一度大きく前に倒して息を吐いた。
またすくっと姿勢を正す。


重「お前の事、ほんまに好きやねん。
...俺と付き合うて下さい」


誰がロマンチックな事できないって？


「...はい。よろしくお願いします」


こんなにロマンチックな告白、生まれて初めてされましたよ。

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