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第九話 「立花仙蔵」 ページ10









夜も更けた頃、私はそっと医務室から抜け出した。







その日の昼間の医務室は、それはもう騒がしくて休もうにも休めないほどで、

私が医務室にいると知った学園の生徒たちは、好奇心でわらわらと近寄って来た。





.....どうやらこの学園には1年生から6年生まであり、

しかも追い討ちで生徒たちはなかなか個性的な子たちが多い。

ただ、やはり経験の差もあるのか、上級生の生徒たちは私を不審に思っているようで一切近寄ってこなかった。








『(先生は生徒たちに私がくノ一だと公表してるんだから、そりゃ怪しむのも無理ないよね...)』



はぁ、と一つため息をつき、昼間の出来事を思い出しながら塀のそばを伝うように歩く。






新野先生には今日は目を覚したばかりだから1日安静にするようにと釘を刺すように言われたけれど、大人しくしているのも気が引けたので、私は学園内の見回りをすることにした。





夏が終わりかけている今の季節は、夜になると冷たい風が頬を霞む。


肌寒いなぁなんて思いつつ塀のそばを伝うように歩いていると、ふとある一角に目が行く。








『うわぁ、なんでこんなに落とし穴があるの...』







そこには、これでもかとばかりに大量の落とし穴が。

更に言うと、「ここに落とし穴がありますよー」ときっちり目印まで置いてある。



一体何のために...









「それは下級生が罠の授業で使用するための物ですよ。....まぁたまにアホな忍びが引っ掛かったりしますが。」



『そうなんだ..........って、え!?』








不意に声をかけられ、ドキッとする私。


いや、正確には気づいてはいたものの、殺気が感じられなかったので無意識にスルーしてしまっていた。







「すみません、驚かせてしまって。
私は6年の立花仙蔵と言います。今課題から帰って来たのですが....あぁ、そういえば
負傷したくノ一を保護していると言っていましたね。」






淡々と話すその人物は、話しながら私をまじまじと見つめる。






「怪我、結構重症みたいですね。安静にしておいた方が身のためですよ。」





そう言った後、「失礼します」と礼儀正しく会釈する彼は、随分大人びて見えた。








.....が、顔はどことなく引きつっている。








私に背を向けながら歩いていく彼の姿を見ていると、あぁーだからか...と顔が引きつっている理由がわかった。









第十話 「忍者のたまご」→←第八話 「解放」



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春の黒猫(プロフ) - 依利さん» コメントありがとうございます!すごく励みになります...頑張ります^ ^ (2020年10月12日 21時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
依利 - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年10月11日 21時) (レス) id: ed636e8d4e (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 菜々さん» コメントありがとうございます。読者様が苗字を設定しない場合、元々の主人公の苗字を設定しておいて欲しいとの事でしょうか...?一応この小説は苗字と名前の設定が可能になっておりまして、あえて苗字を設定していないのですが...(・・;) (2020年10月9日 16時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々 - こんにちは読みたい所ですが設定のとこ少し直した方思います参考なったら嬉しいです例えば→夢崎(名前)。こんな感じです読みづらくすみません (2020年10月8日 16時) (レス) id: ea6e979d26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春の黒猫 | 作成日時:2020年9月22日 16時

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