六十二松目 「千回夏を迎えられるように」 ページ22
ふあぁ、とあくびをしながらキッチンへ向かうと見慣れた黒猫がしっぽを立てながらやってきた。
『なんだ。お前も眠れないのか？......って』
私はそれを見た瞬間固まった
猫がやって来た方を見ると髪の毛をぼさぼさにさせた一松がいたからだ。
それを私はジト目で見る。
『.....なにやってんの。』
「あー...いや、えっと、ちょっと猫が気になったって言うか...」
途中でぼそぼそ小さい声で呟きながら、冷や汗たらして目を泳がす一松。
そう言えば一松って猫好きだったっけ...
「そ、そういえば一之瀬、こいつに名前ねぇの？」
『名前？...あー、そう言えば...名前なんて考えたことなかったな。』
まじかよ...と呆れたようにつぶやく一松は、続けて黒猫の方を見ながら「名前つけてあげておいた方がそいつも嬉しいんじゃねーの」とぼそっと言う。
名前か....
私が頭をうならせて考えていると、あっ、と何か思いついたように一松が声を上げた。
「黒猫だからクロでいいんじゃね」
『いや、ありきたり過ぎじゃね』
近所のおばさんか！なんて突っ込みたくなるほどありきたりな名前を口にした一松は、「じゃあお前は何て名前考えてんだよ。」と問いだす。
『んー.......
千夏....とか...？』
「へぇ...理由は聞いてもいい？」
『去年の夏に死にかけてたこいつに出合ってさ、......なんか自分に似てるなぁと思って拾って帰ったんだよ。
だから、千回夏を迎えられるような元気な子でいられますようにって言う意味合いで考えた。』
すらすらーっと言う自分自身が何となく恥ずかしく思え、『はっず...』なんてぼやきながら手の甲で火照った顔を隠す。
「いいんじゃない。それ。」
一之瀬の癖に、と続けて言う一松。一言余計だコラ。
飼い猫の名前を決めたところで、ふあぁと自然にあくびが出てきた。
ホットミルクも飲まないで眠れそうだ。
『ありがと一松。名前も決めれたし、そろそろ寝るか』
「どういたしまして。....そうだな、俺も寝むくなってきたし。」
二人揃ってあくびをしつつ寝室へ戻る。
千夏...か。
私がその名前をつけた理由はもう一つあった
「千夏」と言う名前は亡くなった自分の母親の名前でもあるのだ。
親がいない一人暮らしの私だけど、見知った名前の人や動物が生活のそばにいるだけですごく落ちつく。
だから、
だからちょっとだけ名前借りさせてね。
母さん。
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春の黒猫(プロフ) - なめこ豆腐味噌汁さん» コメントありがとうございます＾＾応援してくださって作者は感謝感激です！これからもよろしくお願いしますね＾＾ (2018年3月18日 2時) (
レス) id: 94c170d235 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ豆腐味噌汁(プロフ) - 更新待ってました(´∀`)この作品ほんと好きです!!!!!!!!!愛してます!!!!!!!!!なので更新頑張って下さい!!!!!!!!!ほんとに!!!!!!!!!応援してます!!!!!!!!! (2018年3月4日 15時) (レス) id: c4290caa64 (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 和蘭芹さん» コメントありがとうございます！長い間更新できていなくてすみません...ただ今作成中ですので少々お待ち下さいませ！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 94c170d235 (このIDを非表示/違反報告)
和蘭芹 - めっっっちゃ良いところで切られたので雄叫びあげました(てか何ですかコレ…！文才アリアリのアリですよ！！更新ずっっと待ってます！！応援してますううううん”ん”ん”ん” (2018年2月22日 23時) (レス) id: 0bd5b50639 (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - なめこ豆腐味噌汁さん» コメントありがとうございます(^^) まさか更新をずっと待ってくださっていた方がいるとは…泣 更新もぼちぼち頑張ります( ´ ▽ ` )ﾉ (2018年1月15日 0時) (レス) id: cc81ffe234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はりゅりゅ | 作成日時：2016年6月5日 1時
