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寄り添う3 ページ31

「杏寿郎さん…やっぱり、杏寿郎さんは千寿郎くんの言った通り、優しくて暖かい素敵な殿方です!」
杏寿郎の言葉を聞いたAは頬を少し染め、気恥しそうにそう告げると、ふわりと微笑んだ。
『A…』
「それに、宇髄さんもきっと悪気があったわけじゃないですから!」
Aの言葉に甘やかな気分になっていた杏寿郎は、次いで出てきた天元を庇う言葉にぴしりと思考が止まった。
「宇髄さん、面倒見がいい兄貴分って感じですけど、きっとそれが空回りしちゃったんですね…だから、きっと『随分と宇髄を庇うのだな』
Aの言葉を遮るように発せられた杏寿郎の声は、少しの怒気と不満を滲ませている。
「杏寿郎さん…?」
Aは困惑した様な不安げな声を上げた。
『何故そこまで宇髄を庇う?』
そう言うと杏寿郎は、そっと手を伸ばし手の甲でAの顎をするりと撫でると、その唇にそっと親指を添わせた。
「っ!?」
その動作と漂う色気に、Aは息を飲むとその頬を一気に蒸気させた。
「〜っ!!」
Aは勢いよく下を向くと、ビシッと入口付近を指さした。
「せ、千寿郎くんが見てます!」
ハッとしたように杏寿郎が振り返ると、入口付近に立っていた千寿郎は、その眉尻を更に下げ、目元を両の手で覆っていた。
その耳は真っ赤に染め上がっている。
『あ、兄上…』
その声は羞恥からか少し震えていた。
『よもや…2人ともすまない!感情的になり過ぎた!!!』
杏寿郎は、はっはっはっと照れ隠しの笑い声を上げた。

『さて、あまり長居をして身体に障っては良くない。今日はもう休みなさい』
そう言うと杏寿郎は、そっとAの頭を撫でる。
その声は先程の厳しさはなく、普段通りの優しさと暖かさが戻っていた。
「はい」
それに安堵したAは、ふわりと微笑むと小さく頷いた。

ベッドの上で杏寿郎と千寿郎を見送ったAは、小さく息を吐きそっと身体を布団の上へと横たえた。
(感情的になりすぎたって杏寿郎さんは言ってたけど…)
そこまで考え、先程の杏寿郎の姿を思い返したAは、一気に心臓の鼓動が跳ね上がるのを感じ、何回も深呼吸を繰り返す。
それでも収まらない気恥しさの様なものを隠すように、Aは布団を頭の上まで持ち上げた。
(嫌じゃ…なかった。あんな風に自分のものだと主張されるのは初めてだったけど、たまらなく嬉しかった…)
Aは甘く締め付ける胸元に手を置き、そっと瞳を閉じた。

それは…→←寄り添う2



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎
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さや(プロフ) - 更新ありがとぉ〜!いつにも増して引き寄せられるのたまらない(´﹃`)のらは状況を説明してくれる文がほんと丁寧だから、アクスタを前に妄想しながら読んじゃったよ(*ˊᗜˋ*)w‪いい萌えをありがとう♡!! (2023年2月27日 1時) (レス) @page37 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - さや、コメントありがとう♡やっと再開(´;ω;`)待っててくれてありがとうー!!(*´˘`*)♡ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - のらの新話がもう読めた(;//Д//)‼すけこまし扱いされてる煉獄さん助かる(੭ु//́Д/̀/)のら再開ありがとぉ♡♡ (2022年10月23日 21時) (レス) @page29 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - cocoa152さん» 一応お伝えします。鬼滅の妖怪奇談にでているジバニャンやかごめの台詞は、兵庫水軍と犬夜叉異聞路という私の別の作品に在ります。宜しければ其方も是非。まだ完結はまだですが… (2022年4月25日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - みこち様、初めまして。コメントありがとうございます✨楽しんで頂けて嬉しいです(*≧▽≦)読みに行かせていただきますね♪ (2022年4月25日 18時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のら | 作成日時:2022年3月26日 11時

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