兵庫水軍紅一点、忍たまになります (ページ9)

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次の日の朝、私は目を覚ます。

『…』

昨日の事を自然と考えていると、なぜか利吉さんの事を考えていた。

《伊作！！！今は健康な私よりも！！重体患者のAを助けるのが先じゃないのか！！！》

あの時そう叫んでいたあの言葉は、私の胸の奥に響き渡っていた。自分の事よりも他人を優先し必死に助けてくれた。あの切羽詰まった顔は、私の脳裏に焼き付いていた。

『利吉…さん』

「なんだい？」

『っ！？いだっ！！』

試しに名前を呼んでみると、本人が真横に座っていた。ビックリして布団から飛び上がると、肩に激痛が走った。

「まったく、寝てろ」

そう言われて布団に寝かせられようとする。でも、私は座り込んだ。

『寝てられません！私、昨日利吉さんの腕、引っ掻いて怪我させちゃったのに…』

「！」

自然と涙が出てきた。人を自分の痛みで傷つけた罪悪感と悲しみ。すると上からため息が聞こえた。

「はぁ…君はどうしていつも他人のことばかりなんだ？」

『いつも？』

利吉「土井先生や六年生のみんなから聞いたよ…君はいつも一人で突っ走って行くってね…誰も止められないみたいじゃないか」

わ、私そんな風に思われてたの…？

『あ、あの！「寝てなさい」…っ』

利吉さんは私を無理やり押し倒すと、ゆっくりと布団をかけてくれた。

「私の傷なら平気だ…君の傷よりも軽症だからね」

ごもっともです。私は起きたら、もう一度謝ろうと思い、静かに目をつむった。

「まったく、目の離せない子だ」