26-1 大人の恋と肝試し ページ10
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「「「暗殺…肝だめし？」」」
「先生がお化け役を務めます。久々にたっぷり分散して動きますよぉ」
もちろん
「面白そーじゃん。昨日の晩動かなかった分憂さ晴らしだ！！」
行われる肝試しにワクワクする人もいれば怖いのが嫌だと言いつつ楽しそうにする人もいた。
怖いか怖く無いか問われるとかなり怖いけど、やると決まってしまったならやるしかないと覚悟を決めた。
開催場所はこの島の海底洞窟。300m先の出口まで男女ペアで抜けなければならない。
洞窟に入った私は、懐中電灯を持って前を歩く磯貝君と色々な話をして進んでいく。
「正直怖かったよ。前原と重森がウイルスに感染して…俺の前からいなくなっちゃったらどうしようってさ」
『うん…私もね、自分や他の皆がもうすぐ死んじゃうかもってなって…磯貝君達がホテルに向かっていって、帰ってこなかったらどうしようって怖かった』
この南の島に来て、いろんな恐怖を経験したことをお互いに話した。黒幕が鷹岡さんだったという事実を聞いた時は思わずえ、と声を漏らしてしまうくらいには驚いたけど…
『だから、こうしてまた同じ空間に一緒にいることがすごく嬉しいの。帰って来てくれて、ありがとう。おかえりなさい』
「！！ただいま！」
そう言うと、ちょっと驚いたような顔をして磯貝君は照れくさそうににこりと笑った。
「もう出口まで着くけどさ…この肝試し、怖がらせるというかなんか…」
『うん、最初殺せんせーが語りで出て来た時は怖かったけど…』
生徒達を怖がらせるというより、他に何か別の企みがあると思わざるおえない。
ハート柄が描かれたカップルベンチに一緒に座ったり、一本の骨を奪い合って喰らうといういわゆるポッキーゲームをさせようとしたりと、途中から全然怖くなかった。
「ぎゃーーーッ！！化け物出たーーッ！！」
『！！？』
「……ふっ」
後ろから殺せんせーの悲鳴が聞こえて来た。脅かす側がなんで驚いているんだろうと思っていたら隣にいた磯貝君が急に笑い出した。
『え、どうしたの？』
「いや、最初の語りの時の重森の悲鳴を…」
『えぇ、なんで覚えてるの！？やめてよ〜』
＿＿＿＿＿＿
「ここは、血塗られた悲劇の洞窟」
『ギャッ！！』
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年7月30日 0時
