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接近した渚は手に持っていたナイフを空中に置くように捨てて、そのまま両手を向けて手を叩いた。
鷹岡の体が後ろにされた瞬間を、渚は見逃さなかった。はめていたスタンガンを流れるように引き抜き、鷹岡の脇腹に当てたのだ。
「すげぇ…」
「…とどめ刺せ、渚。首あたりにたっぷり流しゃ気絶する」
跪く鷹岡の首にスタンガンを当てて顔お上げさせる渚。
殺意を教わった。抱いてはいけない種類の殺意がある事、その殺意から引き戻してくれる友達の大事さ…殴られる痛み、実戦の恐怖を鷹岡からたくさん教わった。酷いことをした鷹岡だが、それとは別に授業への感謝はちゃんと言わなければいけないと渚は思った。
「鷹岡先生、ありがとうございました」
バチッ
鷹岡は渚の笑顔を見たのを最後にその場で倒れた。
「よっしゃああ、
鷹岡との戦闘は勝利に終わったが、鷹岡から奪った治療薬だけでは全然足りなかった。
「フン、テメーなどなどに薬なんぞ必要無ぇ。このまま生きて帰れるとでも思ったかい?」
スモッグ・グリップ・ガストロが拘束を解いて屋上まで上がって来ていた。
「お前達の雇い主は既に倒した。戦う理由はもう無いはずだ」
「……」
「俺は充分回復したし、生徒達も充分強い。これ以上互いに被害が出る事はやめにしないか?」
「ん、いーよ」
「あきらめ悪ィな!!こっちだって薬が無くてムカついて……え?」
3人曰く、「鷹岡の敵討ち」は契約には含まれていないらしく、そもそも薬なんて必要ない。
生徒たちに盛ったのは食中毒菌を改良したもの。後3時間くらいは猛威を払うが、その後急速に活性を失って無毒となる。
「そしてボスが使えた指示したのはこっちだ。これ使えばお前らマジでヤバかったがな」
「使う直前にこの3人で話し合ったぬ」
鷹岡が設定した交渉期限は1時間。だったらわざわざ殺すウイルスでは無くても取引はできる。
「交渉法に合わせて多種多様な毒を持ってるからな。おまえ等が命の危険を感じるには充分だったろ?」
「…でもそれって、
「アホか。プロが何でも金で動くと思ったら大間違いだ」
もちろん
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作者名:野乃梅 | 作成日時:2023年7月30日 0時