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Aちゃんに待っていてくれと伝えられたため、17人全員でぞろぞろと会場の関係者入り口から、控室の楽屋へと向かった。
他の関係者のために何部屋か用意されていたが、案外みんなすんなりと帰ってしまうようだ。
"橘A様 関係者様"と書かれた部屋のドアプレートを確認して、みんなで入ると、綺麗に整頓された室内が広がっていた。
テーブルの上には、ちょっとしたお菓子とジュースやお茶、コーヒーが置かれている。
「"待たせちゃうので、みんなで分けて食べてください。 A"だってー!Aってばこんなに気使わなくていいのにね」
「どこかのクズギャンブラーと違ってとても礼儀正しい子ですね」
「あ!?それって俺しかいねーじゃん!」
みんなでわやわやとお菓子を分けて、盧生とせんべいを1枚ずつ分けた時、ガチャリと楽屋のドアが開いた。
「あっ、Aちゃんや〜!……………って誰?」
そこに立っていたのは、黒髪で三郎くらいの長さの髪の毛、小柄でパーカーにGジャン、デニムジーンズというストリート系の服を着た少年がいた。
少年と青年の中間くらいだろうか。
彼は目をぱちくりさせている。
***
「なんやぁ〜〜、Aちゃんだったんかいな!!」
「すみません…これ言ってなかったですよね」
あの後すぐに、一郎がAちゃんの名前を呼んだおかげで実は男装していたAちゃんだとみんな気づくことができた。
男子にしては小柄だし華奢だなとは感じたが、まさか男装していたとは。
「でもなんで男装なんかしてんだ?普通にしてりゃーいいだろ」
空却がお菓子をポリポリと齧りながら話す。
「あー…実はコンサートの日って毎回こうなの…。普通の格好のままで変装だけして出ていくと、すぐ人だかりになっちゃうから男装して、本当にわからないようにしなくちゃいけなくて」
「大変やなあ。俺も出待ちの子たちいてくれるんはありがたいけど、人だかりできたらちょっと…ちゅー気持ちよぉわかるわ」
それにしても、男装していると綺麗な顔の男の子って感じやな。
大人しそうで、どっちかっていうと読書とか好きそうな感じだ。
「な、なんですか簓さん……」
「いや、綺麗な顔やなと思て…ってあだ!?」
「正々堂々みんなの前で口説くな!変態が!」
「なんでやー!変態やない!!」
Aちゃんを見るとクスクスと笑っている。
ああ、やっぱり笑てる顔が1番かわええわ。
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翠(プロフ) - 設定も文章の書き方もめっちゃ好きです...!素敵な作品をありがとうございます🥺💗続きを楽しみにしています♡ (2022年4月11日 18時) (レス) @page20 id: d7bba88e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウサミ | 作成日時:2022年3月2日 14時