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零ちゃんたちがお見舞いに来た日から数日が経った。今日は木曜日。
病院はやっぱり退屈だ。窓の外をぼーっと眺め、雑誌を眺めという動作を計6回は繰り返しただろう。
最近の女子高生はこんなにオシャレで美味しそうなものを食べるのかとか、素敵なカフェだったりとか、そういった投稿を永遠と眺めていた。
私も女子高生したいなあ……。
「退院したら何しよう！そうだなあ…まずはやっぱりカフェに…いや水族館もいいなあ…。」
って、退院いつなのか知らないけどね。
前に入院した時は、軽く発作になったから短い日数で済んだけど…
「A〜、お〜い」
「ひぇえ！？」
目の前にはヒラヒラと白い陶器のような手を振るりっちゃんがいた。その後ろには真緒ちゃん。
「もしかして気づいてなかったのか？何を真剣に……」
そう言って私の手元にある雑誌を覗き込んだ真緒ちゃんは、少し静かになった。
真緒ちゃんって変なところで気を使うよね！
りっちゃんも、椅子があるのに何故かベッドに腰掛けて興味深そうに雑誌に目をやった。
「A、これに興味あるの？」
そう言って指差したのは、変な色のぶたの置物の写真だった。
そんなわけ
「そんなわけないだろっ！」
真緒ちゃんの方が早かった。りっちゃんはこういう空気を和ませるのが得意だ。
「真緒ちゃんとりっちゃんは学校帰り？」
「うん、そう。」
「朔間さんから、この間お見舞いに行ったって聞いて早めに行こうとは思ってたんだけど…遅くなってごめんな。」
「ううんっ、来てくれてありがとう！やっぱり病院って退屈で…。」
そういうと真緒ちゃんは、だよなあと困ったように笑った。りっちゃんは相変わらず、マイペースに私の雑誌を取り上げて1人で見ている。
「いつ退院なんだ？」
「えっと、それがまだ…あと少しだと思うんだけどね。」
「ふ〜ん。じゃ、退院したら3人でパフェでも食べに行こうよ。」
「りっちゃん天才……！」
でしょ〜、もっと褒めて〜、とニコニコ満面の笑みでくっつこうとするりっちゃんは置いておこう。
改めて見ると、2人の制服がピカピカして見えた。
水色のブレザーってとっても素敵だ。
真緒ちゃんもりっちゃんもすごく楽しそう。夢の咲学院って、高校ってどんなところなんだろう。
とっても楽しいんだろうな。
私は、体のことを考えて通信制を選んだ。
夢の咲学院であることに変わりはないけど、校舎に行ったり、制服を着たりすることはないからとても羨ましかった。
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作者名：ウサミ | 作成日時：2020年9月19日 23時
