おかあさんではありません！4【歌.い.手】

バレンタインのおはなし ページ7

「はいどうぞ」

袋から取り出した綺麗に包装された四角い箱。
それを4人に渡すと、不満そうな顔をされた。

「.....なんですか」
「一応聞くけど、手作り？」
「そんなわけないじゃないですか」
「何で」

うらたさんの声がどんどん低くなっていく。
何でと言われても。
お世話になってる上司や同僚、スタッフさんにも渡すんだから一々作ってなんかいられない。

「もー早く受け取って下さいよー。これから配りにいかなきゃいけないんです！」

押し付けるようにグイグイとチョコを渡すと、しぶしぶ受け取られた。

「Aの手作りがよかった。じゃないと食べへん」
「じゃあ食べなくて結構です。それ以上体重増えても困りますもんね」

そう言うと大袈裟に傷付いた顔をした坂田さんが泣き真似しだした。

「Aったら最悪ー！坂田泣いちゃったじゃない！」
「あーはいはい。茶番はいいんで早く受け取って貰えますか、志麻さん」
「全員一緒のやつかよ」
「当たり前です。ラッピングの色変えただけ有難いと思ってください！」

じゃ、チョコ配りに行くんで。
と家を出ようとすると、センラがポツリと呟いた。

「Aちゃん、俺ら以外に誰にあげるん？」
「...職場の人とスタッフさん。あとまふまふさんとそらるさんと天月さん」

『は？』

「スタッフさんとかはともかく何であの3人に渡すんだよ」
「え、欲しいって言われたので」
「なんだお前、誰でもええんか！？」
「その言い方やめてください」
「いやー！行かんといてー！」
「ちょ、坂田さんカバン離して！」
「チョコ回収して、早く！」
「センラさんまで何やってるんですか！？」


ピンポーン

玄関先でバタバタとしていると、インターホンが鳴った。

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