おかあさんではありません！4【歌.い.手】

一方その頃 ページ22

urata side

「さぁ、あと10分で支度しないと全員で腕立て50回にしようかな」

はははと笑うこの男、田中 護(35)。
俺達の前任のマネージャーであり、今いないAの代理である。
この発言で分かるように脳筋だ。

「坂田早く着替えろ！」
「お前のせいで毎回筋トレする羽目になっとんねん！」
「なんで皆こういう時だけ早いん！？ずるいわ〜」
「文句言っとらんでさっさと手ぇ動かせ！」

相変わらず寝坊した坂田を急かして何とか支度を終えた。
ちなみに今までは間に合わず筋トレさせられた。
おかげで二の腕やら腹筋やらが筋肉痛なのだ。

「あと少しの辛抱だぞ。あと5時間後にはAが帰ってくる...」
「あ、鈴木は今日夕飯をご馳走になるから直帰するぞ。だから今日いっぱいは俺と一緒だな」
「何やってんだあの二人は！労うな！うちで食えうちで！！」
「うらたん、気持ちは分かるけど言ってることめちゃくちゃやで...」

田中さんのおかげで毎日規則正しい生活をさせられている。
いや、普通なんだけど正直Aが恋しい。
グチグチ言われてうぜぇって思う時もたまにあるけど、

(脳筋よりおかあさんのがマシだ)


＊


「お疲れ様！夕飯作ったから食べて」
「いやいやいや、こんな食えへんわ。俺らアスリートか」

テーブルに乗らないくらいの量のご飯に志麻が愚痴をこぼした。
唐揚げにパスタにポテトサラダにハンバーグ...あと炊飯器めいっぱいに炊かれたご飯。

「もうええから帰ってー。奥さん待っとるやろー！」
「お仕事頑張ってるあなたが好きって言われてるから大丈夫」
「惚気んな腹立つ！」

坂田が田中さんの背中をグイグイと押すもビクともしない。
理解ある奥さんで何よりだが、今はとにかく俺達を解放して欲しい。
このままだと全員プロレスラーみたいな体型になってしまう。

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