おかあさんではありません！2【浦.島.坂.田.船】

できません！ ページ3

「試しに歌ってみる？」

と、志麻さんに差し出されたマイク。

「できません！」

ぶんぶんと手を振り断るも「ええやん別にー」とぐいぐいマイクを押し付けてくる。

「本当に無理なんで！」
「そう言えばお前の歌って聞いたことないな」
「うらたさんまで.....聞かせるほどのものでもないので」
「打ち上げでカラオケ行ってもずっとマラカス振ってるし」

そう、私はずっと人前で歌うことを拒んでいる。
『大して上手くもないくせに』
昔の言われたことがやっぱり気になってしまって、どうしても出来ないのだ。

「Aちゃんの声綺麗やし、聞いてみたいけどなぁ」
「声の綺麗さと歌の上手さは比例しないですよ、センラさん」
「ケチやなー」

「俺も聞きたい聞きたい！」と駄々をこねる坂田さんを制して、「仕事があるので」とそそくさとその場から離れた。
あまりに煌びやかなその場所は私にとって立っているが苦しくなる。

いつかは、と憧れた舞台は私には大きすぎた。
だからそこに立てる、立つ力を持った彼らを支えると決めたのだ。


(絶対に成功させるぞ！)

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