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さて、話を戻そう。
私は白紙の文学書によって呼び出され、『白紙の文学書』とよく似た性質をもつ異能力を所持していた。
それを、『利用しない』なんて考える人が、いると思うか?
きっと、君たちも想像していることだろう。概ね、その通りだよ。
私の生活や、店のこと、身の回りのこと、その他もろもろ、一切合切、すべて特務課が提供してくれている。無償でな。だから、店の売り上げがあろうとなかろうと、私の生活に変わりはない。
その代わり、私は特務課から協力依頼が来れば断ることができない。
そういう、関係で成り立っている。
さて、話しを私の異能力に移そうか。
私の異能力は『白紙の文学書』。
口に出したことが実現する。厳密に言えば、『声に出して云ったこと』だがな。
だから、このマイクなんだ。この咽喉マイクは特殊でな。
『マイク』とは云っているが、実際に私は声に出してはいない。
振動だったり、筋肉の収縮だったりで、声を発生させているんだ。
私の異能力は厄介でな。声に出したことがすべて実現するんだ。
会話するには何の支障もないんだが、例えば私が『海へ行きたい』と言えば、私は気が付くと海の中に沈んでいるし、『カレーが食べたい』と言えば、私の前にカレーが現れる。さらに、誰かに会いたくないと言えば、その誰かとは一生会うことは無くなる。
それに、怖いから念のため紙に書くが……。
『この世界なんて消え去ればいい』
とまあ、こんな感じのことを云ってしまえば、恐らくその通りになるだろうな。
つまり、だ。
私が冗談のつもりで云ったことが、片っ端から実現すれば、いろいろと面倒だし、危険だから、それを防ぐためにも、普段はこれをつけて話している。
私の異能力を知っているものに対しては、権勢にもなるしな。
だから、電池は気にしているつもりだったんだが、昨日は久々の外出でうっかりしていたようなんだ。面倒を掛けてしまって本当にすまない。
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作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年11月30日 15時