検索窓
今日:37 hit、昨日:3 hit、合計:22,754 hit

ページ46

雨が降っていた。

激しい土砂降りだった。

予報にはなかった突然の雨。

けれど、少女に関係は無く、今日も今日とて、本の世界に居る。

カラン、カラン、と、音がして、少女は顔を上げる。


「いらっしゃい」


本を置いて立ち上がると、そこにはこの店の名付け親が立っていた。


「やあ、ずぶ濡れじゃないか」


カウンター下から大きめのタオルをもって駆け寄る。


「私の店が、近くにあってよかったな」


くすくすと笑いながら、少女は青年にタオルを差し出す。


「用意していたのか?」

「ああ、念のためね。君は、ここを駆け込み寺のように思ってる節があるから。まあ、君が来なくても、他の客が来た時に渡そうと思って。びしょ濡れのまま歩き回られたら困るから」


髪を拭きながら、青年が店内を見る。


「確かに、濡れたら困るだろう」

「ああ。大好きな本を汚されたら困るからね」

「そうだな」


頷きながら青年はタオルを少女に返す。


「シャワーもどうだい?」

「……どうせ風呂も沸かしてあるというんだろう?」

「正解だ」


にぃ、と少女が楽しそうに笑う。

青年が脱いだ上着を半ば奪うように持ち、少女は店の奥へと駆けていく。


「さあ、風邪をひかないうちに」


そう云った少女の後ろ姿を見送って、青年は口元を手で覆った。

そうして目を泳がせる。

気づかれていないだろうか?

・→←とある小説家への願い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
39人がお気に入り
設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/  
作成日時:2020年11月30日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。