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「すまんね、暗い話になってしまった。しばらくにぎやかだったのに、急に静かになったから感傷的(センチメンタル)になってしまったようだ」
ぱっと笑い、ふくろうは敦に向き直る。
「あ、いえ……」
掛ける言葉が見つからず、もじもじと手を擦り合わせていると、ふくろうの携帯がピロンと、軽快な機械音を立てた。
「失礼」
一言そう云って、ふくろうは携帯を開く。
「敦くん、入荷時期がわかったよ。入手はさほど困難ではないようだから、明日には届くようだ」
「本当ですか!?すごい早いですね」
「ああ。なんせ、異能特務課だからね」
そう云って、ふくろうはほほ笑む。
「まあ、入荷するのに数年かかったこともあるから、当てにならないこともあるけどね」
「あはは……」
苦笑いをこぼすしかなかった。
「さっきも言ったけど、取りに来るのはいつでも構わないからね。何なら入荷したらすぐ、君の所に届けに行くけど、どうする?値段は、本の定価から、状態を見ていくらか値引きする。聞いたところハードカバーのようだから定価はそれなりにするとしても、まあ、ざっと、千円もあれば足りるさ」
「わかりました。やっぱり、そこまでお世話になるわけにはいかないので、自分で取りに来ます。今度はいつ来れるか、わからないいですけど……」
「そうかい。じゃあ、本を読みながら、気長に待っているよ。ああ、そうだ。確認なんだけど、敦くんが依頼した本を私が読んでも大丈夫かい?」
「はい!もちろんです」
「よかった」
笑顔で頷きながら、ふくろうはカウンターに置いたままになっていた本を撫でた。
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作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年11月30日 15時