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続けて、ふくろうは云う。
「ですが、皆さんに私が救われていることも事実です。お返し、と云うにはとても足りませんが、探偵社の皆さんからの『依頼』には、優先的に応えさせていただきます」
そうしてようやく、咽喉マイクをつけなおし、ストールで隠す。
「皆さんといると、記憶の気配を感じることが多いんです。もしかしたら、名前や、誕生日も思い出せるかもしれない。だから、このつながりを失いたくありません。断っておいて、都合のいい話だとは分かっています。ですが」
「構わん」
ふくろうの言葉を遮って、福沢が云う。
「こちらとしても、いろいろといい影響をもらっている」
そう云いながら、ちらりと乱歩を見やる。
その手には先ほどからずっと、ふくろうが作ったお菓子が抱えられていた。
ふふふ、とふくろうが笑う。
「そういえば、市警方にも云われました。私が居合わせた現場は、他よりも早く事件が解決すると。これからも、どうかよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼む」
無表情の福沢と見つめ合いながら、ほほ笑むふくろうは密かに思っていた。
武装探偵社こそ、自分の居場所ではなかったのではないかと。
それをたった今、二度と叶わぬことに自分でしてしまったのではないかと。
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作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年11月30日 15時