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某日。
乱歩が、いつも通り勤務机でお菓子を食べていると、殺人事件が起きたと市警からの連絡が入った。
現場は、駅で数駅の場所にあるデパートらしい。
「敦、乱歩さんについていけ」
「はい。主に電車のサポートですよね」
「そー。早くいくよー」
国木田に指名された敦と社を出て、事件現場へと向かう乱歩。
「よう、名探偵と坊主。元気そうだな」
見慣れた黄色いテープの向こうに立っていたのは、顔なじみの刑事だった。
乱歩は、ぱっと笑って片手を上げた。
「お、箕浦君じゃないか!ご苦労だねえ」
「こんにちは」
それぞれ挨拶を交わすと規制された現場へ足を踏み入れた。
「背中から一突きだそうだ」
「だろうねぇ」
遺骸にかけられたビニールシートをめくりながら乱歩が頷く。
うつぶせに倒れた男の背から生えたように刺さる銀のナイフ。
帽子を脱ぎ、軽い祈りをささげてから立ち上がって現場を見て回った。
「事件が起きたあとすぐにデパートは封鎖されたから、客は全員この中にいる。こちらで絞り込んだ容疑者は3人だ。3人とも男が刺された直後近くにいたものたちだ」
「その3人はどこにいるんですか?」
敦が聞くと、箕浦はエスカレーターの方を指さした。
「向こうのベンチに座っている。近くに警察もいるから逃げ出すようなことは無い」
観葉植物に並んで、市警に両脇を固められながら、男性が1人、女性が2人、ベンチに並んで座っていた。
「後ろから刺されたのに容疑者は3人いるんですか?」
敦の疑問に、箕浦がため息交じりに頷いた。
「ああ。それがな、何でも目撃者によれば、突然男の背中にナイフが生えたように見えたと云っていてな」
「ナイフが、生えた?」
聞き馴染のない言葉の組み合わせに、敦が聞き返す。
「ああ。そいつが云うには、歩いていた男の背中に突然銀色の物体が現れたらしい。男の近くに人はいなかったらしくてな、しばらくそれがデパートのイベントか何かだと思っていたらしい」
「その目撃者はどこに?」
乱歩が聞くと、遠くから声が聞こえた。
「私だ」
3人が声の方を見れば、市警に両脇を固められながら、ベンチに並んで座るうちの1人の女性が手を挙げていた。
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作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年11月30日 15時