ウワサ ページ32
本格的に伴奏に合わせて
合唱を練習するようになった。
古びた音楽室で本番さながらに並ぶ。
指揮者が途中で、私の演奏を止めた。
少し走りがちに弾いていたようで
注意された。
楽譜を覚えていて、手が慣れていたのもあったが、
最大の原因は、豆ちゃんとの連絡の頻度が少なくなって
イライラしていたためだった。
こういうときに限ってしょうもないヤツがいるものだ。
休憩時間にクラスメイトの男の子が
ピアノ越しに二人やって来た。
「この前汐恩と何やってたの？」
「鶴房くん？」
「この前の練習中
汐恩と抜け出してたじゃん。」
豆ちゃんの初回放送の次の日のことを
言ってるらしかった。
豆ちゃんのことで、なんて言える訳がない。
「別に特別なことはないけど。」
と軽くあしらったが
二人は顔を見合わせて
「ほらー怪しいじゃん。」
と片方が言った。
「何？」
私は帯を締めたように戦闘モードに入ってしまった。
「汐恩と実はいい感じなんでしょ？」
「なんでそうなるの？」
「だって仲良いしさ。」
「そりゃ同じバスケ部なんだから仲良いに決まってるじゃん。」
「いやぁでも王子先輩みたいに
キャプテンとマネージャーの恋ってあるからさぁ」
こういう自分の予想を正当化したがる人って
本当に現実を見てくれない。
私はイライラが募ってきた。
「好きなんじゃないの？」
「別に好きじゃない。」
私は楽譜を読んでいるフリをして
ペラペラ急いでページをめくった。
「またまた〜、
否定するところが怪しいよね〜」
二人が大きな声で騒ぎ出し、
クラスの何人かが振り向いたところで
イライラが頂点に達した。
「だから鶴房くんなんて好きじゃないって言ってるじゃん！」
私が手を鍵盤に強く置いたことで
ジャーンと大きなピアノの音が響き渡り
音楽室はシーンと静寂になった。
ちょうど鶴房くんがトイレから帰ってきた。
私の言葉を聞いたらしい。
こちらを睨んだ。
鶴房くんは私の方にツカツカとやって来て
恥ずかしくて俯く私の前に立って
両手で私の肩を掴んだ。
鶴房くんは真剣な顔つきだった。
「前原、まだ気にしてんのか？
キャプテンのくせに
逆転のチャンスでゴール外して負けたこと、
根に持ってんのか？」
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ののん(プロフ) - saorisaori630さん» 友だち申請、コメントありがとうございます！長い小説なのに時間割いて頂いてありがとうございます（TT)ファイナルもぜひ最後まで読んで下さいね！ (2020年2月27日 0時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
saorisaori630(プロフ) - はじめして！すごく素敵な小説でつい一気読みしちゃいました！笑ファイナルも是非読まさせて頂きたいです！友達申請しました(^^) (2020年2月26日 8時) (レス) id: 4b2dde0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ちぇりさん» コメントありがとうございます(^^)面白いと言っていただけると安心ですし、やる気が出ます！！ファイナル編もよろしくお願いいたします☆ (2020年2月24日 19時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - はじめまして！この作品を見つけて、おもしろすぎて一気に読んでしまいました！(^^)ファイナル編も楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2020年2月21日 8時) (レス) id: 9cc5cf3336 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - コメント、友だち申請ありがとうございます！がんばります(^^) (2020年2月16日 21時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年1月19日 0時
